2007年11月記事一覧
本来ならとっくに店頭に並んでいるはずの単行本がいろんな事情から遅れに遅れて、そのため、来週からは仕事場で缶詰状態になりそうです。
福田総理が特定失踪者の方々との会見を断りました。彼の視線は拉致被害者家族や日本国民に向けられてはいません。ワシントンと北京に注がれているだけです。私が『拉致処分』(ビジネス社)のなかで指摘してきたように、日本側の最大の弱点は『誰が拉致されているのか』『総数はどのくらいなのか』がわかっていないことで、そこを米国や中国政府からつかれると具体的な反論ができず、拉致日本人全員の奪還ではなく、一部「帰国」で手打ちにするという条件闘争になる構造を解消できないままだということです。
首相が特定失踪者関係者と会おうとしないのは、被害者の認定を最小限度にしておきたいからで、つまり事実上切り捨ててゆくと言う決意表明でもあり、関係諸国への外交的シグナルであると判断すべきでしょう。
福田政権登場の歴史的意味は冷戦以後日本社会の深部からマグマのようにわきあがってきた国民の正当なナショナリズムを現存の東アジア秩序と日本の戦後体制のなかに封印することにあります。当然、日本の外交的軍事的『自立』を追及することなどありえないし、自国の防衛を日米安保体制のなかに封じ込めておくという方向性は一層強まる。それを民主党を中心にした野党勢力も支持するという『戦後翼賛内閣』のカラーを色濃くもっているのです。この政権の最大の敵は野党ではない。地下でマグマのように沸騰を始めた日本国民の怒れるナショナリズムなのである。政権の最初の課題はまず日本人拉致被害者切捨てと日朝正常化シフトにあり、今回の『事件』はその最初のワンステップです。
「拉致処分」の動きは来年早々具体的に目に見えてくる。そのころ、ちょうど確定申告も始まります。自国民も救えない政府が国民に対して納税せよ、などとはチャンチャラおかしい。さらに笑わせるのは、日本人も奪い返せない政府がそれだけでは足らずに、税金で、同胞を奪い謝罪もしない最悪の独裁政権を支援しようと言い出すことなのです。これが正しい税金の使い方なのでしょうか。皆さん。
その一方で面妖なのは『救う会』がこの件についてなにも公式に発言をしていないことです(30日現在)。特定失踪者は無関係だということなのかどうか。こうした政府追従策は内部を混乱させ、運動の障害にしかなりません。昨今の情勢分析も主観的で、ブッシュが東アジアで日本ではなく、中国を選択しているのだという現実が見えていない。なぜ6者協議のホストが中国だったのかを冷静に分析すべきでしょう。
朝鮮半島『デタント』はそれだけで動いているわけではない。それは東アジア全般の政治情勢のワンオブゼムにすぎないのです。
インサイド情報
中国が北の茂山の鉄鉱石など資源漁りに目の色を変えているの、有名な話だが、そうしたいくつかの中国系開発企業のなかに、ブッシュ大統領ファミリーの関係する一大コングロマリットがあることはほとんど知られていない。同社は政商と噂され、北朝鮮の大規模資源開発プロジェクトにすでに調印ずみだ。中国の北朝鮮『併呑』化は着々と進んでいて、それが北朝鮮の対米接近に拍車をかける。北は伝統的外交手法である『遠交近攻』外交に生き残りをかけている。(遠=米国、近=中国である)
友人の『電脳補完録』の主催者・山本さんの協力で、ブログをはじめることにしました。いつまで続くのか、自分でも自信はないのですが、取り合えず、1年間は続けます。
東アジアの諸情勢が本格的に動き始めました。背景にあるのはアメリカの覇権の歴史的な衰退で、それに伴って、アジアのパワーバランスは100年ぶりに一変しつつあります。こうした鳥瞰的な視点を踏まえつつ、虫瞰的に情勢を論じていきたいというのがブログの開設の趣旨です。
安定的に成長を謳歌してきた中国ですが、短期的にはあやうい局面に入ってきたと見ています。理由は、経済の先行きに楽観視できない兆候が現れてきたこと、成長の代償として生まれてきた社会矛盾(格差と共産党の腐敗の蔓延)が巨大な不安定要因になりつつあるからです。中国をGDPの数字(それも当局の恣意的数字の可能性が高い)だけで判断するのは止めたほうがいいようです。先の17回共産党大会では人事だけに焦点があつまっていましたが、なぜ胡総書記の報告の中で『開放』政策が繰り返し強調されていたのかを考えておくべきでしょう。
朝鮮半島も要注意です。確実に米国と北朝鮮の『和解』(正常化以前に、当面は両国間の信頼醸成と緊張緩和が最優先される)が近づいてきた。来年早々、米国国務省主導で、対北テロ国家指定が解除されるはずです。(米朝正常化にはハードルが高いとの論評もあり、それはそれで事実なのですが、問題はいまや『正常化なき正常化』の関係が着々と進行していることで、ブッシュの『裏切り』は確実に日本のナショナリズムの台頭と米国不信を高めるでしょう)。
現在さまざまなルートから流されている『テロ指定解除』についての各種の報道は、解除による日本世論の反発や批判に備えた事前の情報リークとみるべきです。解除の方針はすでに決定済みです。
福田内閣は1月の訪中までに『解除シフト』に動きだすはず。福田政権の誕生とは米中の仕切るアジア秩序を日本が受け入れ、草の根のナショナリズムを上から管理することにあります。だがそれがスムーズにいくのかどうか。米中が恐れているのは福田内閣の動向ではなく、「拉致処分」が生み出す日本人の反応、世論の動向です。
また来年は台湾総統選挙がある。現状では馬英九国民党候補の勝利が噂されていますが、彼の主張する中国大陸との話し合い路線は大陸投資を生命線にする財界の融和姿勢を背景にしています。台湾独立派と融和派の選択は形をかえた東アジアにおける日中対決の側面をもっています。東アジア情勢は戦後の日本のあり方を否応なしに日本人に問いかけてくるはずです。
そんな話をぼちぼちと書いていきます。
●書いています 発売中です。
『ニッポンの恥!』(別冊宝島リアル「自民党の媚中政治家」)
『誰も報じない中国の真実』
(オークラ出版・『中国人御用学者たちの正体を見抜け!』など6本書きました)
●11月20日、『正論の会』で講演しました。(『対中援助は必要か』)出席していただいた方には御礼申し上げます。話し終えて、まだまだ対中ODAにまつわるでたらめさや両国政治家や援助団体の具体的な「闇の実態」が知られていないことを再認識しました。
福田政権で08年に終了する対中ODAに替わるエネルギー、環境支援が『復活』するのは時間の問題でしょう。この検証作業も始めます。
●『チャンネル桜』の『報道ワイド』(11月27日午後8時〜)で、アジア開発銀行の中国周辺諸国への「地域開発援助」について、安全保障の観点から解説しました。
日本の北朝鮮『制裁』はこの日本が最大の出資国(15・7%・米国と同率)である国際援助団体から最初に解除されることになりそうです。
●荒木和博氏が主催する戦略情報研究所のニューズレター「おほやけ」に田原総一郎批判を書きました。今年1年間、月に2回投稿します。政府の支援を断りながら戦っている荒木さんたちの「男気」に連帯したいということで、書くことにしました。
購読料は年間1万円で、毎月の講演会に無料で参加できます。(なお投稿した原稿について質問があればご連絡を。お答えします)
問い合わせ先は『戦略情報研究所』のHPへ
http://senryaku-jouhou.jp/
●友人たちに声をかけて、来年早々からこじんまりとした勉強会を開催します。月1回、3時間です。開始からしばらくは、私が講師を務めます。
テーマは
第一回『日露戦争のアジア的影響』
毛沢東の日露戦争論 08年1月
第二回『ロッキード事件とはなんであったのか・再検証』
田中角栄非公開発言から 2月
第三回『米朝「和解」、米中再接近後の東アジア情勢』
どこに向かう日本のナショナリズム 3月
です。





![ニッポンの恥! [別冊宝島Real] (別冊宝島Real 75)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/31p9qvqPMcL.jpg)




