『2008年』

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来年は2008年、世界を見渡せばさまざま政治イベントがある。なかでも注目は11月の米国大統領選挙である。現状では民主党ヒラリー・クリントン候補が下馬評で圧倒的な優位に立つ。
そのヒラリーの夫であったビル・クリントン合衆国第42代大統領が、天安門事件以後始めて中国を訪問してから来年で10年になる。クリントンは大統領選挙期間中のキャンペーンで、『天安門からバグダッドまで、あの無法者たちを許さない』と、トウ小平ら中国指導者たちとフセイン・イラク大統領を激しく糾弾し、同時に対立候補であった現職の共和党大統領、ジョージ・W・Hブッシュの『対中融和外交』を非難の遡上にあげた。

そのクリントンが中国を訪れた。それはなにからなにまで異例なものだった。彼はこれまで歴代の合衆国首脳が中国を訪問する際に立ち寄った日本と韓国には足を踏み入れず、しかも日本上空を通過することなく、アラスカ経由でいきなり西安に降り立ったのである。これも米国首脳としては初めてのことで、これまで米国大統領の中国訪問の際は、まず最初に首都北京を訪問するのが慣例であった。
日本「PASSING」と西安訪問の意図はなにか。西安があの蒋介石国民党総裁が張作霖によって監禁され、共産党との「一致抗日」を約束させられた『西安事件』の舞台であることは誰でも知っている。
天安門事件後初めて中国を訪問したクリントンは『中国首脳の意向を受け入れて』(中国共産党関係者)このスケジュールを実現させた。彼は「同盟国日本」を遥かに遠望しつつ、抗日のシンボルである国共合作の地・西安に最初の痕跡を刻んだのである。
クリントンは中国に9日間滞在している。これは米国史上、大統領が外国に滞在した日数としては最長である。さらに同行した随員はこれも史上最大の1200人。前回ブッシュ・シニア訪問時の500人の2・4倍の急増ぶりである。理由は同行メンバーのなかにIBM,GMなど米国大企業の首脳が多数加わり、中国で大型商談が行われたためである。
クリントンは上海で、中国の新興青年資本家たちとランチを楽しみ、同地で台湾独立に反対する発言を行った。中国大陸を去った大統領は次に、1年前に英国から返還された香港の地で、『安定し、繁栄した中国は米国の戦略的パートナーである』と宣言して訪問を終えた。奇しくも、彼がハワイ島に帰国、到着したのは7月4日。222年目の独立記念日の当日だった。10年前に行われたクリントン訪中の戦略的意味を解読しなければならない。

訪問からさかのぼること100年前。英国からの独立を達成し、西に向かって国を開いてきた米国が、始めて米西戦争でアメリカ大陸以外を地域を支配したのが1898年のこと。フィリピン、グアム、キューバ、プエルトリコが米国の影響下におかれ、植民地化された。
それまで欧州の『植民地』獲得レースを非難してきた米国がアジア太平洋に一大覇権を求めて活動を始めた最初のきっかけである。
第一次世界大戦までで、すでに米国のGDPは世界の33%を占め、英国を抜いて世界一に達していた。資本主義大国米国は貪欲に新しい市場を必要とする。冷戦が終焉し、米国のアジア太平洋支配が完成した。それを受けて、クリントンは建国史上最長にして最大規模の米国ミッションを従えて、中国に対して「大遠征」を実行したのである。
米国は自らの意志で計画経済から市場経済にと移行していた中国を次のフロンティアと見て、進出と関与を本格化させた。あれから10年、いまや米国は事実上中国第二の投資国であり、ハイテク、宇宙、金融と日本がキャッチアップできない産業分野で圧倒的な影響力をもつ。経済貿易関係のつながりの深さはそれにふさわしい外交的枠組みを求める。

妻・ヒラリー・クリントン候補はいう。『中国は米国が最も重視すべき国。協力関係を拡大していかなければならない』(フォーリンアフェアーズ最新号)
米朝接近と日本人拉致問題の切り捨て。背後にあるのは朝鮮での対決を回避しようとする米中の本音である。中国は経済建設のために、周辺の安定を確保したい。また米国はアジアではもう戦いたくない。朝鮮半島と台湾はリンクした一本の線である。危機の発火地点を米中は共同で管理しようとしている。その最初の具体的なテストケースが朝鮮半島なのである。


●書いています
「SAPIO」
(12月12日号・SAPIOS EYE・『日本に機密情報を漏洩した「中国人スパイ」に死刑判決を出した胡錦とうの深謀遠慮』

風邪気味です。締め切りを抱えていて、ヤバヤバの気分です。


*トウ小平のトウは、正しくはです。




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