2008年1月記事一覧

ブッシュ・シニア

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一昨日行われた『南京の真実』完成試写会は大成功だったようです。関係者の方々、参加された方々、お疲れ様でした。さらに第二回、三回と成功させていきましょう。

ニューヨークフィルハーモニーが2月25日から訪朝して、翌日26日には首都ピョンヤンでコンサートを開きます。コンサートの模様は全世界に中継され、長く敵対関係にあった米国と北朝鮮の『友好』が演出されることになります。
フィルハーモニーの公演を背後で仕切ったのは「コリアソサエティ」というニューヨークにあるコリアロビーです。トップにいるのはドナルド・グレッグという元駐韓大使で、ブッシュ大統領の父親であるブッシュ・シニアの朝鮮政策のブレーンでもあります。
グレッグは何回も訪朝した経歴をもつ北朝鮮の『古い友人』のひとりです。昨年北朝鮮外務省がシニアの北朝鮮訪問を正式に招請している事実はテイクノートしておくべきです。
ライス(国務長官)・ヒル(国務次官補)らの国務省ラインだけではなく、大統領の個人的な外交チャンネルの動向も慎重に目配りしておく必要がありそうです。米中関係の「正常化」の際にも、ピンポン外交という「民間外交」が先行した事実を忘れてはいけません。
たびたび宣伝めいて恐縮ですが、「敵国になり得る国米国」(PHP研究所)を参考に。





お勧め本です。

21xsBd7DpPL.jpg『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(宮崎正弘・KKベストセラーズ 1600円税別) 在野のチャイナウオッチャーの第一人者である宮崎さんの最新作です。中国の内外の諸矛盾がいずれは破綻するとして、日本企業の中国からの撤退が強く警告されています。宮崎さんと面識を得たのは数年前の『チャンネル桜』の討論会で同席してからで、番組内では毎回、常に地図やパネル、それに現地取材で撮影してきた写真を紹介されていて、説得力があります。本のなかにも宮崎氏が現地で自身で撮影した写真が挿入されています。 中国経済の実態、共産党、解放軍の知られざる内幕、また中国の旺盛な資源外交の姿など いずれもコンパクトにまとめられていて、これ1冊でほぼ現在中国がかかえる深刻な問題が理解できるはずです。 なかでも、巻末のエピローグ「対岸の火事では済まされない」は短いものの、ぜひ熟読していただきたい。今後も対日工作が活発化し、反日暴動の再発は必至である。またブッシュの北朝鮮政策は『米中蜜月時代』を象徴する出来事であり、米国の力を衰退が日本、台湾だけではなく、アジア全体に影響を与えることなどが危機感をこめて、指摘されているからです。ここまで相互依存関係を深めた日本や世界にとってチャイナリスクの深刻さを考えるうえでも参考になり得る一冊です。

「チャンネル桜」

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昨年から「チャンネル桜」が全社を挙げて、製作していた映画『南京の真実』第一部「七人の『死刑囚』」の完成披露試写会が1月25日に開かれます。ここまでこぎつけた水島総社長以下、全スタッフの方の奮闘に心から敬意を表したいと思います。


nankin_shishakai.gif


私が「桜」に最初に出演したのは、宝島社から『中国利権の真相』を上梓した直後の4年前のことで、高森明勅さんの担当する「報道ワイド」で中国ODAの話をさせていただいたことがきっかけだった。以後、ちょくちょく声をかけていただき、最近では特定失踪者調査会の荒木和博代表と水島社長と三人で語りあう「爆弾!」シリーズが好評で、昨年も『救う会』の全国集会の場で、参加者の方から「楽しみにしています」とお声をかけていただき、恐縮したものである。「桜」のスタッフはいずれも礼儀正しい方ばかりである。なかでも驚くのは女性スタッフがいずれも美人ぞろいなことで、私はひそかに『渋谷の桃源郷』と呼んでいる。

「桜」に対して一部には根強い偏見がある。「右翼放送」というレッテル張りがそれである。だがそういう批判は本質的ではない。なぜなら放送とは所詮は「媒体」にすぎないのであって、その評価は第一に、番組の中で出演者にどれほど自由な発言や言論が保証されているのか、にかかっているからだ。その点でいえば、「桜」にはおおよそタブーはない。私自身ただの一回も発言の訂正や取り直しを要求された体験はない。残念ながら地上波はそうではない。何度も取り直しが普通である。なぜ「桜」にタブーがないのかといえば、スタッフの志に加えて、大手の企業がスポンサーになっていないからである。つまりカネのないのが、逆に自由な言論を担保しているである。この事実は今の日本のメディア状況を考えると重要で深刻な意味をもっている。

メディアに対して右だ、左だと不毛なレッテル張りをすることは無意味である。逆に『リベラル』で『進歩的な』メディアがスポンサーである大手企業を批判できない現実こそが憂うべき問題なのである。番組の中で時の首相や国会議員はいくらでも揶揄できる。だがトヨタや三菱商事、さらに三井住友銀行など大スポンサーを、あるいは電波を管理する郵政省を政治家並みに非難の遡上にあげられるのか。無理である。広告を出して、高給を保証してくれる大企業や電波利権を握る監督官庁、それに情報を投げ与えてくれるお役所の批判は徹頭徹尾タブーである。こうした現状にある大手メディアがやれ規制緩和とか、格差社会が問題だなどと言い出すからネットで散々叩かれる。

白猫だろうが黒猫だろうがネズミを取る猫はいい猫である。同様に右だろうが左だろうが自由で活発なタブーなき言論空間を保証するメディアはたとえ小さかろうと、それは優れた媒体なのである。イデオロギーの違いは自由な報道の判断材料になるわけではない。

私はこれまで番組の中で森ビルが上海に建設中の世界金融センターをめぐる諸事実についてこう話した。このビルが日本の50億円もの公的援助も受けて建設されていること、建設予定地が毎年6センチも地盤沈下する上海一軟弱な場所であること、そして採算性に疑問をもったメインバンクのみずほ銀行が融資を拒否したことなどである。

またこんなことも話した。
小泉首相の靖国参拝で悪化した日中関係を水面下で『正常化』したのは「世界のトヨタ」の豊田会長(経団連会長・当時)であったこと、それは上海に地盤を築いたライバルの米国GMに対抗して、天津に地盤を確立しようとする同社の海外戦略とも関連していたこと、また天津こそ胡錦涛現政権が実現せんとしている渤海経済圏構想の中心都市であり、現状では日本の大手企業はトヨタだけであることなどである。

まだある。山崎豊子氏の『大地の子』のモデル企業・新日鉄は日本で最初に『戦争賠償金を払っていないのだから、日本は中国に援助すべきだ』と言い出した会社である。当時の稲山会長など贖罪派がその代表だったが、ナント、その新日鉄が中国に売り込んだものの、焦げ付いたプラント代金の回収に日本からの対中緊急支援を利用していた事実。彼らは贖罪を自社ビジネスに『活用』したのである、等々。

いずれも「桜」で話した内容の一部だが、こんな危険で?具体的な話を地上派で放映できるはずがない。名前の上がったこれら企業は決して怒らせてはいけない大スポンサーだからである。結局、こうした事実は『右翼放送』の「桜」だけでしか放送できない。だから逆に桜はいいメディアなのだ。少なくても言論の自由には充分に貢献している。だが、リベラルで自由なはずの「朝日ニュースター」はスポンサーに対してはいささかも自由ではない。朝日系メディアに広告が多いのは『中国進出中の大手企業が安心して広告を出せるからです。中国政府のマークしている媒体への広告は躊躇します』(広告代理店H社員)という事情がある。こうした現実にほっかぶりしたまま、能天気に言論の自由を語るとすれば、それは、およそ羊頭とかかげて狗肉を売るものと言わざるを得ない。大手スポンサーなき「桜」の中国批判がネットで話題になる現実は日本のメディアの病理そのものである。


25日の当日はぜひ会場に足を運んでほしい。水島社長たちスタッフのこの1年の孤軍奮闘がなんであったのかをその目で確認し、成果をともに分かち合っていただきたい。
ちなみに私も賛同人に加わらせていただいた。私は基本的にこの種の署名や賛同に名前を連ねることはしない。例外がこの『南京の真実』である。これが最後になるだろう。
最もよく戦っている者たちにこそ、最大限の賞賛が浴びせられるべきである。

希望とはあるともいえなし、ないともいえない。それは道のようなものである。
地上にもともと道はない 歩く人が多くなればそれが道なのだ(魯迅・故郷)

「敵国になり得る国・米国」

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締め切りが集中しているので、今日は新刊の紹介だけにします。

「敵国になり得る国・米国」(PHP研究所)の見本が届いた。帯は「いま米中の『日本処分』が始まった アメリカと中国は舞台裏で「経済的同盟関係」を築こうとしている」。装丁もシンプルで、赤と白のコントラストがいい。いずれも編集者のTさんの努力の賜物だ。

時代が激動する。だが、その只中にいる人間には変化がなかなか実感できない。いま東アジアの政治構造は大きく変わろうとしている。米中両国の間に新しい枠組みができつつあるからだ。
中国市場経済とは共産党が上から牽引する『資本主義』化のことである。その特徴は有力な独占国営企業の経営権を中国版『ノーメンクラツーラ」(高級官僚)たちが握っていることだ。いま中国全土では、建前上は「全人民の所有」であるはずの国有資産を共産党組織と党員たちが私物化する現象が一般的で、市場化と腐敗がこれに拍車をかける。当然大衆は反発し、怒りの水位は高まるばかりである。
中国経済の主役は、戦後の日本に出現した松下やホンダなど民間のパイオニア精神あふれる経営者たちではない。純然たる民間資本は例外なく99%が零細企業である。彼らの最大の悩みは「銀行が融資をしてくれない」ことだ。だが政治力を背景にした国有企業にはそんな心配はない。情実融資が通常だからである。その結果が国有4大銀行の膨大な不良債権というわけなのである。彼ら『赤い財閥』はひたすら輸出に成長をかける。最大のマーケットは国内ではなく、米国である。

米中に対立点はたくさんある。だがそれが即、対決にはつながっていない。ここが大事な点である。ブッシュ政権も例外ではない。大統領の変身はあきらかだ。彼はすでに北朝鮮を『ならず者国家』と非難してはいないし、政権の発足時には、台湾を「共和国」と誤って(?)ラジオ番組で発言した彼はいまでは一転して『台湾独立は容認しない』とこれを切り捨てる。まだある。そもそもブッシュ政権が船出した際に、中国を『戦略的ライバル関係』と規定したのはライス国務長官だった。そのライスをいまでは人民日報が「間違いなく中米関係を前進させる」人物と激奨する。これは中国が変わったからなのか、それともブッシュの『変身』が理由なのか。両方がともに正しいのである。

「赤い貴族」と米国グローバル資本との共演が始まった。これが、まぎれもない米中関係の基軸である。『いささかも経済建設をゆるがせにしてはならない』。鄧小平以来の歴代の中国指導者は確固としてこの路線を不動にしてきた。イデオロギーなき中国では経済運営の成功だけが政権安定の鍵なのだ。米国は中国製品の最大の輸入国だし、中国は米国の有力な国債購入国である。つまり、互いがそれぞれが急所をつかみあう相互補完関係が実相といえる。だからこそ対決はできない。だが種種の対立はある。そのため、矛盾を対決にエスカレートしないようなリスクヘッジが外交的課題になりうるのである。金政権の延命、台湾の独立阻止が当面のテーマである。米中『同盟』を仕掛けているのはキッシンジャーたち政治的リアリストたち、元米国政府高官である。ブッシュファミリーの中国との癒着も見逃せない。彼らは対決をエスカレートさせて、米中両国の戦略的な利益がダメージを受けることに警戒的である。両国はニクソン訪中からほぼ40年、そのことを学んだ。当面米中関係の後退はない。この事実は東アジアのパラダイムを根底から激震させるはずである。

こんなことを書いています。定価1300円(税別)です。
一般書店に並ぶのは28日からになります。
関心のある方は手にとってみてください。
本書の中でも紹介した次の事実を日本人は直視すべきでしょう。

2006年10月10日。北朝鮮の核実験の翌日。
この日、キッシンジャー元国務長官と胡錦涛国家主席ら中国首脳の間で秘密会談が行われた。(これは月刊誌「中央公論」掲載の「拉致敗戦」のなかで一部紹介されている)
前日まで北京にいた安倍首相はこの事実を聞かされていない。キッシンジャーは安倍訪中と同時期に中国に入国しているのに、である。日本と米国は『同盟関係』にあり、中国とも『戦略的互恵関係』を確認したはずで、日米安保と対中ODAはその担保だった。
だが、日本側は両国政府からなにひとつこのような情報を伝えられていない。それには理由がある。彼らが語り合ったのは日本の核武装をどのように押さえ込んでいくのか、そして日本からいかにして北朝鮮再建のためのカネを供出させるか、という『日本処分』がテーマだったからである。以後6者協議のテーマは北の核廃絶ではなく、この方向に大きく変質していくのである。


敵国になり得る国・米国
青木 直人
PHP研究所 (2008/01)
売り上げランキング: 52504

保守の分解が始まる

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1991年、社会主義の拠点ソ連が崩壊した。ほぼ同時期中国共産党もまた『共産党』を捨てて、党規約の中に『社会主義市場経済』路線を書き込んだ。当時、登小平は正直にこう告白している。「なにが社会主義か、なにが資本主義かの論争はもうしない」と。60年代社会主義陣営に亀裂を走らせた中国とソ連のイデオロギー論争。当時ソ連の重鎮・スースロフに対してモスクワで火の出るような大論争を吹っかけたのが登だった。その当事者だった登自身が社会主義の歴史的な幕引きを図った。
左が潰れれば相対的に右が浮上してくる。右は左の党派的歴史観や政治性を徹底的に攻撃し、多分に敵失に助けられて、浮上してきた。だが安倍内閣の崩壊で幸運な保守の時代が終わろうとしている。もうこのままでは立ち行かないはずだ。保守系総合誌の売れ行きも良くない。彼らもなにをどう訴えていけばいいのかがわからない、親しい編集者の嘆きが聞こえてくる。「読者の顔が見えない」
保守の危機は天皇制を現代にどうフィットさせて、継承していけるのか(縦軸としての歴史)、また米国との距離(横軸としての日米安保)をどう取るのかについて、これから本格的な分解が始まることによる。
なかでも対米関係の立ち位置をどう取るのかは深刻なテーマになるだろう。
理由は覇権国米国が東アジアにおいて急速に、中国との協調の方向にシフトし、このトレンドにしばらくは大きな変化はないからだ。
日米VS中国という図式は急速に米中VS日本という構図に変わりつつある。私は「敵国になり得る国・米国」を書きながらそれをいやでも実感した。もはやアジアで日本はメインプレイヤーではない。先代の遺産を放蕩するだけの能天気なボンボンに堕落しているのが祖国日本の現実である。
対米幻想にひたる一部保守のなかには事実を直視する勇気をもたない人たちがいる。相変わらずネオコンや強硬派に期待をしているからだ。彼らはこれほど強固につながった米中両国の経済貿易関係の実態を無視している。米国国債を日本についで購入しているのは中国である。中国の成長のカギは対米輸出にかかってもいる。そうした成長企業は米国を中心して国際ビッグビジネスが押さえている。社会主義市場経済は「赤い財閥」と海外の多国籍企業を結びつけ、両者を利益共有関係に変貌させたのだ。いまや米中経済はジャムの双生児である。良好な経済関係にはそれにふさわしい政治的関係が求められる。市場経済の中国という新しい皮袋にはそれに適した酒が注がれる。もはやネオコンの出番などどこにもありはしない。台湾が独立した際は軍事攻撃をするとした「反国家分裂法案」が全人代で可決された2005年3月、その直後ライス国務長官が中国を訪問した。法案可決に抗議しはしたものに、結局、台湾防衛を約束したブッシュ政権の高官・ライスの訪中がキャンセルされることはなかったのである。そればかりではない。彼女が中国を離れた翌日の人民日報は『ライスはネオコンではない。彼女は我々のパートナーになりうる」と絶賛し、さらに『彼女はリアリストである」とも付け加えたのである。。
中国国内の新聞や雑誌をちゃんと読んでいれば、誰がどう考えても、ネオコンが対中外交の主役にはなりえない。これはブッシュ大統領の意思でもある。だがこんな注目すべき記事ですら、我らが『保守』の間では話題にすらならなかったのだ。サヨクを笑うのはいい。だが笑っているホシュもまた冷戦思考の囚われ人ではないのか。左の終焉が右の勝利だと単純に言いえるのだろうか。
繰り返す。冷戦が終わり、保守が勝ったのではない。冷戦の終焉。それは左の空論と同様に、保守の単純な反共イデオロギーもまた歴史のなかに埋葬したのである。いまや世界史の主役は国境を越えて拡大するビッグビジネスの存在である。彼らの『利益』の論理に対するオルタナティブこそが切実に問われているのではないのか。


書きました

●荒木和博氏が主催している戦略情報研究所のニューズレター「おほやけ」に『買弁たち』と題して、登小平の子弟たちの錬金術について書きました。
福田訪中で環境支援が決定し、従来の利権構造も完全に復活しました。日本国民の血税で支援が行われ、中国の貧しい大多数の国民が低い金利とは言え返済義務を負うのです。
援助のピンハネをするのが太子党や政府高官たちなのです。
なぜ日本の新聞もテレビもこれほどの不正義に対して怒らないのか、アンビリーバブルです。

戦略情報研究所

中朝関係の真実

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草思社が民事再生法の適用を申請し、事実上倒産しました。私は同社から本を出したことはないのですが、PR誌だった『草思』には何回か寄稿を求められて、原稿を掲載させていただいたことがあります。加瀬前会長というカリスマ的な編集者の不在は大きかったようです。しかも同社の得意なノンフィクションは経費がかかるばかりで、採算の取れにくいジャンルです。売れているときはいいのですが、ヒットが出ないと辛い。それが経営悪化につながった結果の倒産です。拉致問題関連のすぐれた本も何冊も出していました。ノンフィクションのひとつの時代の終わりを実感しています。

また8日午前には講談社の鈴木智之・広報室長が喉頭がんで亡くなりました。昨年暮から入院し、面会者も最小限にしての闘病生活だったようです。前日までは比較的落ち着いていたものの、早朝に容態が急変した結果とか。
私の『田中角栄と毛沢東』は事実上、彼が世に出してくれた本でした。同世代の知人だっただけに、胸にぽっかり穴の開いたような喪失感があります。なんとも名状しがたい想いのなかにいます。いずれ私も彼の元に行く。それまでは鈴木ちゃんの好きだった言葉『雑誌ジャーナリズムの誇り』を心に刻んで、仕事をしていきたいと思っています。


「中朝関係の真実」

金正日のアメリカに対する露骨なプロポーズが聞こえてくる。きっかけはブッシュ大統領への信書の中で彼が『韓国以上の親米国家になりたい』と伝えたことだ。北朝鮮の遠交近攻外交が幕をあけた。北はワシントンの力を借りて、北京を牽制しようとし始めている。韓国との南北首脳会談で朝鮮戦争の休戦協定は北と韓国と米国の3カ国で行いたいと発言したのも同様な理由からである。目的は中国外しにある。
金正日がなぜそうするのかといえば、理由はいたって簡単で、日本の『経済制裁に効果がない』のではなく、大いに効いているからなのだ。
田原総一郎ら『識者」はいう。『中国と韓国が援助しているので、日本の経済制裁には効果がない』と。無邪気な『分析』である。韓国も中国も善意のサンタクロースではない。北支援は国益の確保を大前提にしている。
韓国はドイツ統一を目にして、祖国の統一を捨てた。自分たちの生活レベルが低下せざるを得ないからだ。言葉で語る統一はタダだが、カネのかかる現実の統一は御免被りたい。韓国の本音である。彼らは太陽政策と称して、北の政権当事者を経済的に支援することで、あの醜悪な政権を延命させ、急激な統一のコストを支払うことから逃亡したのである。それはいわば貧乏な肉親を引き取って生活の面倒をみるのではなく、たかりにくる彼らにそのつどわずかなカネを与えて追い払っているのとなにも変わらない。これが韓国のいう「援助」の正体である。

では中国はどうか。援助という名目で、北朝鮮を東北地域経済の下部構造に組み込むことが狙いである。『地球市民』気分の日本人はODAをなにか抽象的な、美しい施しのようにしか考えていない。そのせいで、いつの間にか援助がそもそも外交の道具であるというリアリズム感すら喪失している。事実はそれほど美しいものではない。
中国は援助の美名の下に、2005年から露骨な経済的覇権の追求を開始している。まず陸上と海底に眠る埋蔵資源の収奪だ。
経済『協力』と名はついているが、実態は北には、地下資源と労働力しか提供できるものはない。経済はとっくに破綻して久しいのである。他方、肝心の『協力』開発資金と技術力は100%、中国が提供する。そして中国から渡される採掘権料は北の核心階層の懐に流れる仕組みなのである。このどこが『援助』の名に値するものなのか。
中国のターゲットは茂山鉄鉱山など最大の埋蔵資源地域に集中している。昨年秋、北朝鮮最大の銅山もまた中国の手に落ちた。買収した中国企業にはブッシュ大統領ファミリーが深い関係をもっている。優良で規模の大きなところがターゲットになっているのである。
中国の資源あさりが活発化しているのは北朝鮮が日本や米国と正常化して、海外からマネーが流入し、北朝鮮の唯一の売り物である『資源』開発に乗り出す前に、おいしいところを先に押さえておきたいからだ。いまや中国のアジアにおける対外投資国は香港を除けば、北朝鮮がNO1である。資源の次は労働力、つまりマンパワーである。北朝鮮の労働者を中国の東北開発に『活用』したいという意向はすでに中国地元関係者から日本企業に対して内々に打診されている。賃金は1日1ドルである。それでも「いくらでも人は集まる」と彼らは胸を張る。金正日と労働党は自国の資源と国民を叩きうることで、生き残りを図ろうとしている。これが『経済協力』『経済支援』の実態である。

事実を確認すれば、金正日の対米ラブコールの意味が誰にでも理解できる。あれは北京の影響力の拡大に対する悲鳴であり、西側の軍事関係者のなかにある中国警戒論に便乗したすりよりなのである。
ある在日関係者ですらこう話す「祖国は完全に中国の経済植民地に変貌しました。金日成主席の時代ならここまで露骨な中国の浸透を許さなかったはずです。
いまはチュチェ(自主)はどこにもない」。
経済的従属は確実に政治的従属につながる。だから金日成は中ソのバランスを取りながら援助を手にしてきたのである。
朝鮮戦争で40万人の義勇軍を失った中国が北を放棄することはありえない。
毛はなぜ出兵したのか。彼の『遊撃戦争論』(中公文庫)を一読すればよくわかる。『小さな犠牲を払うことで大きな安全を確保する』。
米国と直接軍事対決することで、米軍にも犠牲を払わせ、二度と中国の周辺にコミットさせない。朝鮮に続いてベトナムでも米軍は敗れた。もう彼らが朝鮮半島に帰ってくることはないだろう。

膨張中国の引力に急速に引き寄せられつつある「自主の国」朝鮮。
だからこそ、日本政府は中朝間に生まれた不和と矛盾を最大限利用すべきである。「このまま中国の植民地になって、金日成主席が提唱していた自主自立の遺訓を捨て去るのか、それともすべての拉致日本人を全員解放して、日本と国交を正常化し、経済支援で祖国の再建を果たすのか。後者以外に朝鮮の未来はない」と、繰り返し公式非公式にメッセージを送ることが必要だ。
ポスト金時代には確実に路線の転換が不可欠となる。だからこそ、北朝鮮内部に高まる対中警戒感に注目すべきだろう。ジャパンマネーなしに北の再生など夢物語なのだから。かって中国と朝鮮の朝貢体制がどのようなものであったのか。それを知りたい方は「朝鮮事情」(ダレ)をお読みいただきたい。なかでも第二章は重要である。

追加
米朝接近をうけて、さまざまな珍論暴論が噴出してきました。ジャーナリストの看板を掲げているのなら。この情報戦に無関心であってはならない、受けて立つべきです。彼らの正体は単なる機会主義者と利権屋にすぎない。その事実認識のおそまつさを炙り出していかなければなりません。日本文化チャンネル桜の水島社長が年頭に「もはや組織や団体に幻想をもつべきではない。志をもったひとりひとりが立ち上がるしかない」と語っておられますが、同感です。


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めぐみへ 横田早紀江、母の言葉
横田 早紀江
草思社 (2007/12/20)
売り上げランキング: 63311

『韃靼』開発プラン

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あっという間にお正月も終わり。仕事のあいまあいまに暮れから読み終えた本を紹介します。
私はあまりベストセラー関連本には関心がなく、古典を読むことが多いのですが・・・
今回は平凡社の東洋文庫から。


「韃靼漂流録」(園田一亀)

41Z6MD1TF0L._AA240_.jpg嘉永21年(1644年)、越前の商人・国田兵衛門ら58人が船で松前に向かう途中、暴風雨のため、韃靼国(今の中国東北地方)に漂着、多くは現地人に虐殺されるものの、残った15人の漂流民は韃靼の都盛京(現在の瀋陽)に連行され、ここでは一転して厚遇をうけ、無事帰国を果たすことができた。本書には彼らの一連の体験の聞き語りが収められている。 この記録が貴重なのは、彼らが瀋陽に着いた時期と、満州人の清国建国が重なっていることだ。首都移転のため膨大な数の満州人が北京に遷都する際の同時代の証言は他にない。 建国直後の北京の姿は実にリアルに描かれていて興味深い。万里の長城の描写は印象的だ。 中国史は結局、漢民族と北方民族の覇者争奪の歴史なのである。 この韃靼漂流記は過去の話だとばかりはいえない。なぜなら日本人商人たちが漂流した場所は、現在でいえば、ロシア領のポシェット湾あたりで、この側を日本海側に向かって流れているのが北朝鮮の豆満江なのである。つまり350年前、北陸の日本人たちは現在、米朝関係改善のなかでスポットを浴び始めた豆満江地域に流れついていたである。(もともと韃靼国=清国領だった場所がロシア領に編入されたのは愛グン条約と北京条約による)


中国が東北開発に、豆満江開発マネーを利用しようとしていることはこれまでたびたび指摘してきたが(『中国の黒いワナ』参照)、今年6月には新潟で東北三省関係者と日本企業の大々的な交流とシンポジュームが開催される。これは昨年秋、日本財界の対中ロビー『日中経済協会』が中国を訪問し(154名と歴代最大の規模!)中国政府との共同作業として実現するものだ。また日中経済協会の訪中と同時期に、日本財界の総本山『経団連』が正式に「東アジア共同体」を『真剣に議論すべき時期が到来している』提言していることも注目される(『対外経済戦略の構築と推進を求める』)。なかでも『『共同体』の構築には日中間の経済連携の強化が不可欠のステップである』ことが強調されていることは特筆しておきたい。
東北三省の再建と天津を第二の上海に、(渤海経済圏構想)と外資を積極的に誘致しはじめた胡錦とう政権とコスト高が構造化してきた沿岸部から東北アジアに生産拠点をシフトし始めた日本財界の思惑は長期的には重なりあう。
暮れのぎりぎりに実現した福田総理の中国訪問は極めて短時間のあわただしいものだったが、天津視察に時間がさかれているのは『日中経済共同体』戦略の文脈から理解すべきなのである。日本海側の中心都市新潟と韓国の束草、韃靼漂流記の現場近くにあるロシアのトロイツァをむすぶ環日本海フェリーが就労を始めた。将来的には北朝鮮の羅津港もこの寄港地に想定されている。
こうして北東アジアの関係各国の国益をむき出しにした日本取り込み外交が本格化する。
拉致問題と日朝正常化はそれ自体単独で存在しているわけではない。日本が6者協議に参加し、共同宣言にサインした段階で、周辺関係国による日本収奪の構図は既定のものになってしまったのである。


(筆者の園田氏はこれ以外に「韃靼漂流記の研究」があり、南満州鉄道(満鉄)の鉄道総局から刊行されている。こちらは入手が困難であり、私は国会図書館で読んだ。
満鉄の遺産は大いなるものがある。ちゃんと足で歩いて情報を取っているし、デスクワークも時間をかけてじっくり整理分析されている。
急転する北東アジアに対する情報収集と分析は急務なのだが・・・。

次回は同じ東洋文庫の『朝鮮事情』を今日的文脈からどう読むのかを書きます。
中朝間に生まれた対立と矛盾を日本がどのようにして利用していくのかという話です。


韃靼漂流記 (東洋文庫)
園田 一亀
平凡社 (1991/09)
売り上げランキング: 655580

謹賀新年

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あけましておめでとうございます。
元旦から仕事を始めています。今年は間違いなく、将来の東アジアの政治的枠組みが具体的に浮上してくる年になります。米国と中国は戦略的な協力関係の枠組みを確かなものにするためにも、朝鮮半島と台湾での「緊張緩和」を不可欠にしており、それが朝鮮では、金正日独裁体制を延命させ、台湾では独立の声を封印することにつながっています。3月の台湾総統選挙と米朝関係のゆくえ、それに11月の米国大統領選挙が最大の注目点になるでしょう。
残念ですが、『保守』の一部には米中関係が歴史的な変化を遂げた事実に無頓着な方々が多すぎます。なぜここ数年歴史認識が国際問題化したのか、それはワシントンにとっても北京にとってもお互いの体制間矛盾を覆い隠すイチジクの葉として必要だからです。
『人権』で対立する彼らは『歴史』を共有することで、『協力』を確認し、『台湾』の現状維持を図ることで、安全保障上の対決ファクターを封印しようとしているのです。
一方、日本の政治社会状況は太平楽そのもので、周辺国がむき出しの国益を求めて、『帝国主義』外交を本格化させつつあるにも関わらず、『憲法9条を守れ』という引きこもり的な姿勢に終始したままです。福田首相にはなんの外交理念もない。争いごとを嫌うだけの群馬の「ボンボン」にすぎません。日本中が、福田的なるもの、つまり正義を主張して、相手と緊張関係になるよりも、何事も穏便に、しかも難題は後送りという社会的風潮に覆われています。
これから始まるのは日本の『収奪」です。拉致問題は福田政権の下で、『東アジアの平和と安定』を大義名分に切捨ての方向に向かい、対中援助はすでに環境基金設立として復活しました。
1月25日にPHP研究所から「敵国になり得る国・米国」を上梓します。この中でも指摘したのですが、もはや米中関係の後退はありません。時代の大きなパラダイムが激変した事実に自覚的であるべきです。
10年前のクリントン訪中以来、米国のエスタブリッシュメントにとって中国はすでに「敵国」ではありません。冷戦思考に囚われていた『保守』の人々こそが遅れているのです。
米国でも、中国でも、外交の実権を握っているのがリアルなグローバリストたちであることに気づくべきです。左右のイデオロギーではなく、『実利』がアジアの政治構図の中心になろうとしています。



北京五輪後に何かが起こる
8月23日、発売

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BOOK

下で紹介している本のアマゾンIDは、特定失踪者問題調査会のID ( shiokazekanpa-2 )を使用しています。ご購入されると調査会に数パーセントの紹介料が入ります。財政難で放送縮小のピンチに見舞われている調査会へのカンパにもなります。ご協力ください。
敵国になり得る国・米国

中国の黒いワナ (別冊宝島Real 73)

誰も報じない中国の真実 (OAK MOOK 180 撃論ムック)

ニッポンの恥! [別冊宝島Real] (別冊宝島Real 75)

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