「チャンネル桜」
昨年から「チャンネル桜」が全社を挙げて、製作していた映画『南京の真実』第一部「七人の『死刑囚』」の完成披露試写会が1月25日に開かれます。ここまでこぎつけた水島総社長以下、全スタッフの方の奮闘に心から敬意を表したいと思います。
私が「桜」に最初に出演したのは、宝島社から『中国利権の真相』を上梓した直後の4年前のことで、高森明勅さんの担当する「報道ワイド」で中国ODAの話をさせていただいたことがきっかけだった。以後、ちょくちょく声をかけていただき、最近では特定失踪者調査会の荒木和博代表と水島社長と三人で語りあう「爆弾!」シリーズが好評で、昨年も『救う会』の全国集会の場で、参加者の方から「楽しみにしています」とお声をかけていただき、恐縮したものである。「桜」のスタッフはいずれも礼儀正しい方ばかりである。なかでも驚くのは女性スタッフがいずれも美人ぞろいなことで、私はひそかに『渋谷の桃源郷』と呼んでいる。
「桜」に対して一部には根強い偏見がある。「右翼放送」というレッテル張りがそれである。だがそういう批判は本質的ではない。なぜなら放送とは所詮は「媒体」にすぎないのであって、その評価は第一に、番組の中で出演者にどれほど自由な発言や言論が保証されているのか、にかかっているからだ。その点でいえば、「桜」にはおおよそタブーはない。私自身ただの一回も発言の訂正や取り直しを要求された体験はない。残念ながら地上波はそうではない。何度も取り直しが普通である。なぜ「桜」にタブーがないのかといえば、スタッフの志に加えて、大手の企業がスポンサーになっていないからである。つまりカネのないのが、逆に自由な言論を担保しているである。この事実は今の日本のメディア状況を考えると重要で深刻な意味をもっている。
メディアに対して右だ、左だと不毛なレッテル張りをすることは無意味である。逆に『リベラル』で『進歩的な』メディアがスポンサーである大手企業を批判できない現実こそが憂うべき問題なのである。番組の中で時の首相や国会議員はいくらでも揶揄できる。だがトヨタや三菱商事、さらに三井住友銀行など大スポンサーを、あるいは電波を管理する郵政省を政治家並みに非難の遡上にあげられるのか。無理である。広告を出して、高給を保証してくれる大企業や電波利権を握る監督官庁、それに情報を投げ与えてくれるお役所の批判は徹頭徹尾タブーである。こうした現状にある大手メディアがやれ規制緩和とか、格差社会が問題だなどと言い出すからネットで散々叩かれる。
白猫だろうが黒猫だろうがネズミを取る猫はいい猫である。同様に右だろうが左だろうが自由で活発なタブーなき言論空間を保証するメディアはたとえ小さかろうと、それは優れた媒体なのである。イデオロギーの違いは自由な報道の判断材料になるわけではない。
私はこれまで番組の中で森ビルが上海に建設中の世界金融センターをめぐる諸事実についてこう話した。このビルが日本の50億円もの公的援助も受けて建設されていること、建設予定地が毎年6センチも地盤沈下する上海一軟弱な場所であること、そして採算性に疑問をもったメインバンクのみずほ銀行が融資を拒否したことなどである。
またこんなことも話した。
小泉首相の靖国参拝で悪化した日中関係を水面下で『正常化』したのは「世界のトヨタ」の豊田会長(経団連会長・当時)であったこと、それは上海に地盤を築いたライバルの米国GMに対抗して、天津に地盤を確立しようとする同社の海外戦略とも関連していたこと、また天津こそ胡錦涛現政権が実現せんとしている渤海経済圏構想の中心都市であり、現状では日本の大手企業はトヨタだけであることなどである。
まだある。山崎豊子氏の『大地の子』のモデル企業・新日鉄は日本で最初に『戦争賠償金を払っていないのだから、日本は中国に援助すべきだ』と言い出した会社である。当時の稲山会長など贖罪派がその代表だったが、ナント、その新日鉄が中国に売り込んだものの、焦げ付いたプラント代金の回収に日本からの対中緊急支援を利用していた事実。彼らは贖罪を自社ビジネスに『活用』したのである、等々。
いずれも「桜」で話した内容の一部だが、こんな危険で?具体的な話を地上派で放映できるはずがない。名前の上がったこれら企業は決して怒らせてはいけない大スポンサーだからである。結局、こうした事実は『右翼放送』の「桜」だけでしか放送できない。だから逆に桜はいいメディアなのだ。少なくても言論の自由には充分に貢献している。だが、リベラルで自由なはずの「朝日ニュースター」はスポンサーに対してはいささかも自由ではない。朝日系メディアに広告が多いのは『中国進出中の大手企業が安心して広告を出せるからです。中国政府のマークしている媒体への広告は躊躇します』(広告代理店H社員)という事情がある。こうした現実にほっかぶりしたまま、能天気に言論の自由を語るとすれば、それは、およそ羊頭とかかげて狗肉を売るものと言わざるを得ない。大手スポンサーなき「桜」の中国批判がネットで話題になる現実は日本のメディアの病理そのものである。
25日の当日はぜひ会場に足を運んでほしい。水島社長たちスタッフのこの1年の孤軍奮闘がなんであったのかをその目で確認し、成果をともに分かち合っていただきたい。
ちなみに私も賛同人に加わらせていただいた。私は基本的にこの種の署名や賛同に名前を連ねることはしない。例外がこの『南京の真実』である。これが最後になるだろう。
最もよく戦っている者たちにこそ、最大限の賞賛が浴びせられるべきである。
希望とはあるともいえなし、ないともいえない。それは道のようなものである。
地上にもともと道はない 歩く人が多くなればそれが道なのだ(魯迅・故郷)
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