保守の分解が始まる

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1991年、社会主義の拠点ソ連が崩壊した。ほぼ同時期中国共産党もまた『共産党』を捨てて、党規約の中に『社会主義市場経済』路線を書き込んだ。当時、登小平は正直にこう告白している。「なにが社会主義か、なにが資本主義かの論争はもうしない」と。60年代社会主義陣営に亀裂を走らせた中国とソ連のイデオロギー論争。当時ソ連の重鎮・スースロフに対してモスクワで火の出るような大論争を吹っかけたのが登だった。その当事者だった登自身が社会主義の歴史的な幕引きを図った。
左が潰れれば相対的に右が浮上してくる。右は左の党派的歴史観や政治性を徹底的に攻撃し、多分に敵失に助けられて、浮上してきた。だが安倍内閣の崩壊で幸運な保守の時代が終わろうとしている。もうこのままでは立ち行かないはずだ。保守系総合誌の売れ行きも良くない。彼らもなにをどう訴えていけばいいのかがわからない、親しい編集者の嘆きが聞こえてくる。「読者の顔が見えない」
保守の危機は天皇制を現代にどうフィットさせて、継承していけるのか(縦軸としての歴史)、また米国との距離(横軸としての日米安保)をどう取るのかについて、これから本格的な分解が始まることによる。
なかでも対米関係の立ち位置をどう取るのかは深刻なテーマになるだろう。
理由は覇権国米国が東アジアにおいて急速に、中国との協調の方向にシフトし、このトレンドにしばらくは大きな変化はないからだ。
日米VS中国という図式は急速に米中VS日本という構図に変わりつつある。私は「敵国になり得る国・米国」を書きながらそれをいやでも実感した。もはやアジアで日本はメインプレイヤーではない。先代の遺産を放蕩するだけの能天気なボンボンに堕落しているのが祖国日本の現実である。
対米幻想にひたる一部保守のなかには事実を直視する勇気をもたない人たちがいる。相変わらずネオコンや強硬派に期待をしているからだ。彼らはこれほど強固につながった米中両国の経済貿易関係の実態を無視している。米国国債を日本についで購入しているのは中国である。中国の成長のカギは対米輸出にかかってもいる。そうした成長企業は米国を中心して国際ビッグビジネスが押さえている。社会主義市場経済は「赤い財閥」と海外の多国籍企業を結びつけ、両者を利益共有関係に変貌させたのだ。いまや米中経済はジャムの双生児である。良好な経済関係にはそれにふさわしい政治的関係が求められる。市場経済の中国という新しい皮袋にはそれに適した酒が注がれる。もはやネオコンの出番などどこにもありはしない。台湾が独立した際は軍事攻撃をするとした「反国家分裂法案」が全人代で可決された2005年3月、その直後ライス国務長官が中国を訪問した。法案可決に抗議しはしたものに、結局、台湾防衛を約束したブッシュ政権の高官・ライスの訪中がキャンセルされることはなかったのである。そればかりではない。彼女が中国を離れた翌日の人民日報は『ライスはネオコンではない。彼女は我々のパートナーになりうる」と絶賛し、さらに『彼女はリアリストである」とも付け加えたのである。。
中国国内の新聞や雑誌をちゃんと読んでいれば、誰がどう考えても、ネオコンが対中外交の主役にはなりえない。これはブッシュ大統領の意思でもある。だがこんな注目すべき記事ですら、我らが『保守』の間では話題にすらならなかったのだ。サヨクを笑うのはいい。だが笑っているホシュもまた冷戦思考の囚われ人ではないのか。左の終焉が右の勝利だと単純に言いえるのだろうか。
繰り返す。冷戦が終わり、保守が勝ったのではない。冷戦の終焉。それは左の空論と同様に、保守の単純な反共イデオロギーもまた歴史のなかに埋葬したのである。いまや世界史の主役は国境を越えて拡大するビッグビジネスの存在である。彼らの『利益』の論理に対するオルタナティブこそが切実に問われているのではないのか。


書きました

●荒木和博氏が主催している戦略情報研究所のニューズレター「おほやけ」に『買弁たち』と題して、登小平の子弟たちの錬金術について書きました。
福田訪中で環境支援が決定し、従来の利権構造も完全に復活しました。日本国民の血税で支援が行われ、中国の貧しい大多数の国民が低い金利とは言え返済義務を負うのです。
援助のピンハネをするのが太子党や政府高官たちなのです。
なぜ日本の新聞もテレビもこれほどの不正義に対して怒らないのか、アンビリーバブルです。

戦略情報研究所




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