テロ国家指定解除を歓迎する

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これまで日本人拉致に対して同情的だった米国ブッシュ政権が北朝鮮に対するテロ国家指定解除を行うのでは、との危惧が日本人の拉致関係者の間に広がっている。
2月26日、北朝鮮建国以来始めて米国のシンボルニューヨークフィルハーモニーが首都ピョンヤンでコンサートを開催し、金正日総書記の観覧も噂されている。公演は衛星放送で世界に同時中継されることが決定している。
また同時にこのころ、韓国、日本訪問が予定されているライス国務長官の電撃的な北朝鮮訪問の可能性がささやかれている。
またドナルドグレッグ元駐韓大使やコリアソサエティの現会長らもピョンヤンを訪れる。これがブッシュ政権の北朝鮮『和解』と無関係と信じるものはすでにいない。
訪米までして日本のスタンスを表明された関係者の方々の努力には充分な敬意を払いつつ、だが、それは今となっては空しい願望にすぎないのではないか。逃げて行く女を未練たらしく追い続けるような醜態は止めようではないか。
もはや右を見ても左をみても拉致にこだわるのは日本だけである。だからこそ言わなければならない。ここから、日本人の誇りをかけた本当の戦いが始まるのである。
わたしたちが頼むべきはなにか。


話は慶応二年(1866年)、第二次長州征伐のときにさかのぼる。蛤御門で大敗北を喫し、俗論党(恭順派)に支配されていた長州藩は前年、高杉晋作によるクーデーターで、一気に倒幕派政権を樹立、これを見た幕府は元治元年の第一次長州藩攻撃についで、第二回目の軍事攻撃をかけんとして、全国から圧倒的な数の諸藩勢力を糾合して、防長二州に押し寄せたのである。戦いは長州藩の国境で火を噴いた。瀬戸内海の周防大島、芸州口、石州口、小倉口の4箇所である。
圧倒的な敵兵力を前にしながらも、高杉ら長州藩指導者はたじろがなかった。なるほど敵の数は圧倒的であり、膨大である、だが彼らは所詮戦意乏しき烏合の衆にすぎない。しかし、わが方は数は少ないとは言え、長州に生まれ、この地に育ち、ここを死に場所と覚悟した不動の藩民がいる。これある限り長州は破れない。藩民の郷土防衛にかけた強力な団結と意思がこそが戦いの源泉であると。
これが高杉らの戦略的判断だった。そして事実、上下万民の団結は幕府の大軍を敗走せしめたのである。
(ちなみにこのとき、大村益次郎率いる長州軍に真っ先に占領されたのが私の故郷益田なのである)

今アメリカの変質とテロ指定解除を前にして、日本の政治家が語るべき言葉はこれ以外にありえない。不当に祖国から凍土の地に拉致され、拘留されたままの同胞を救出するのは、誰の仕事でもない我々、日本国民の責務である。この当たり前の事実を承認するところからしか全ては始まらない。

わたしはブッシュ政権のテロ指定解除を歓迎する。ブッシュ・ショックは米国頼みの日本人を覚醒させるだろう。わたしたちがなすべきことは幻想を捨てて闘争を準備することである。マッカーサーがつくった「平和憲法」と日米安保に守られた『平和ニッポン』で『米軍は出て行け!』と叫ぶ幼児性。この戦後の『平和精神』こそが再考されねばならない。
日本にとって対米関係が重大であることは事実である。統一戦線の観点から言っても、中国やロシアと組めるはずはなく、両国民の間の親近感や経済的紐帯、また民主主義的な価値観を共有している点においても米国以外に組むべき国はない。これは歴然とした事実である。安易な反米論は日本孤立を加速するだけだろう。
だがだからといって、日本には日本の国益があり、決して譲歩できない国家の品格がある。拉致問題はその最大のものなのである。

もはや左とか右とかの色分けは不要である。この国に生まれ、この国に育ち、この国と運命をともにしようとするあらゆる人たちが団結し、上から下まで日本国万民の怒りを表明しなければならない。長州全藩をあげての反撃が倒幕につながったように、拉致処分への反撃を戦後体制見直しの国民運動につなげなければならない。
私たちには正義があり、怒りがあり、そして道理がある。

日本がしっかりと軸足を定めれば、6者協議など、所詮は日本のカネほしさの烏合の衆にすぎない。彼らは団結しているわけではなく、切り崩しは充分に可能である。
すでに、中朝両国間には陰湿な矛盾と対立が表面化している。金は胡錦濤の特使の前で『中国を裏切らない』と異例の自己批判を余儀なくされた。これまでなら「同志的な配慮」を理由に伏せられたはずのこうした発言を中国は直ちに新華社を通じて世界にむけて、公表したのである。中国は6者協議出席と公約遵守、そして東北開発への経済協力を金正日に対して迫ったのである。(詳しくは戦略問題研究会のニューズレター『おほやけ』最新号を参考に)
金体制は米中の『遊泳可能区域』の中で生かされているにすぎない。政治的動揺が今後も表面化せざるを得まい。
だからこそ、いま問われているのは金体制を追い詰めるという確固とした日本と日本人の覚悟なのである。


非常の難を説くものを常道をもってみるべからず
いまだ議論と周旋に終始して難を説くものを聞かざるなり
所詮は武器をもって戦うの覚悟がなければすべては空論
戦の一字あるのみ
 中岡慎太郎

私たちが立つべき原点がここにある




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