2008年3月記事一覧
昨日、「拉致日本人を救う会神奈川」の一般講演に荒木和博調査会代表らとともに参加しました。そこでの話のエッセンスを。やや辛口です。
①残念だが、チベット蜂起は事実上鎮圧されたとみるべきである。反乱の中心地域であるチベット自治区・ラサでの活動は軍事的に抑え込まれ、さらに反政府運動も甘粛省などチベット族居住区内にとどまっていて、他民族との連帯を通じた非チベット族地域への拡大に成功していない。事件はあくまで「チベット族」の住む「チベット地域」だけの戦いに収斂しつつある。
②中国共産党は国民の分断統治に巧みである。彼らの「智恵」に深く学ぶべきである。
少数民族の蜂起だけで政権が倒れることはない。革命の中核勢力はいまも昔も労働者であり、農民である。「社会主義」市場経済はかっては「社会主義の主人公」と呼ばれていた彼らを社会の最下層に落としている。逆に最大の既得権益グループは党政府の高官と家族たちである。文化大革命から40年、「党内の実権派」(北京大学大字報)は完全に復活し、政権を手にした。もはや絶望的な格差の解消は不可能である。
③89年の天安門事件は都市における反政府運動が内陸の農村地帯に広がらなかった。毛沢東の大躍進政策に始まる農業の集団化(人民公社)から個人農業に変わったことで、生産意欲の高まった農民は天安門事件に沈黙することで政府を「支持」したのである。
だが農民の所得はこの時点がピークで、以後相対的な「貧困化」に拍車がかかっている。年頭に出される「一号文献」はここ5年間「三農」問題(農民、農村、農業)に集中している。それでも離農はとまらない。農村の解体にこそ中国崩壊の兆しがある。
④社会科学院のレポートによれば現在中国社会には10の階層が存在している。中国共産党は13億もの国民を分断して統治、非抑圧階層集団を個別に孤立させ、押さえ込んでいる。今後も動乱はあるが、当面は「点」にとどまって「面」に拡大する可能性は小さい。また中国の成長はアジアNIES型の中産階級を育てるよりも、上下の経済格差の大きなラテンアメリカスタイルである。中産階級による「平和的革命」は期待できない。またなによりも彼らは改革開放の既得権益集団であり、政治的傾向は安定重視であり、保守的である。
⑤チベット蜂起に連帯することは貴いが、日本が中国政府に加担して、漢民族の少数民族浄化に手を貸している事実が知られていない。
日本が最大の出資国であり、総裁を送り出しているアジア開発銀行は四川省や甘粛省の高速道路建設に合計で700億円ちかい「援助」を与えている。ここを経由して解放軍の部隊が内陸に向かうのである。
新疆ウイグル自治区はさらにひどい。この地域を「解放した」のが人民解放軍の王震将軍であり、彼が対日利権の最大の窓口である中日友好協会の名誉会長であったことから、日本のODAも相当行っている。なかには現地幹部(漢民族)用に温泉まで作っている。もちろん私たちの税金が出所である。
日本の援助がチベットなど少数民族への弾圧と無関係ではないという自覚が日本人の長期的な支援の継続には不可欠だろう。
⑥福田首相が毒餃子事件について中国政府に抗議しないのは、「相手側を刺激しない」という「政治戦略」(笑い)以上に、日本政府が中国に反論することで、小泉内閣当時のように、対立が日中両国政府間と国民の間のナショナリリズムの激突につながる可能性を恐れているからである。財界と外務官僚が最も嫌うのがこうした事態の勃発なのだ。
だが事態は小泉時代と本質的には何も変わっていない。次のハードルは北京五輪である。8月の北京で反日排外主義と中華愛国主義が爆発する。
その結果、日本の草の根の対中感情はさらに悪化する。過剰な排外主義は経済の失速と失業の増大に伴って、共産党攻撃に向かう可能性はある。労働者も農民も公然とこう言い始める。「共産党は本当に私たちの味方なのか。外国企業の買弁ではないのか」と。
やがてチベット以上の衝撃が中国共産党を痛打するかもしれない。だが共産党はひとまずは安心である。なぜなら反政府の側に「毛沢東」が不在だからである。
全国的反乱を指導し統一できうるリーダーと組織はまだ出現していない。
ありうる可能性は共産党の分裂ではないか。
注:一部、文言を削除した部分があります。この部分に関してはいずれ詳細なレポートを行う予定です
2週間近くもブログを休んでいました。この間チベット蜂起という大事件が勃発しましたが、同時にまた先ほど台湾総統選挙において馬英九・国民党総裁が新しい総統に選出されたという報道もありました。経済のグローバル化を背景にして中台の接近に一層弾みがつくことになるでしょう。日本の領土・尖閣列島を大陸と台湾が声をそろえて、「わが領土」と叫ぶ事態が始まるのです。
ブログの開設以来繰り返し、米中両大国のニューデタントが朝鮮半島と台湾海峡で具体的な姿を現すであろうといい続けていましたが、最終的に東アジア地域の枠組みがじょじょにではあれ、固まりつつあるような兆しを実感しています。
それを一言で言えばアジアとユーラシア大陸東側における「パックスチャイナ・アメリカーナ」(米中による平和)の登場ということです。台湾総統選挙の結果はその始まりを誰の目にもあきらかにしたのではないでしょうか。
だがこれは事態の始まりにすぎない。次に控えているのは「日本処分」なのです。そのきっかけになるのが政界再編です。日米安保体制に安住し、自主防衛と憲法9条の改正には慎重な反面、戦後「民主主義」をほぼ丸ごと肯定し、東京裁判史観を受け入れ、改憲に反対するリベラル勢力が米中両大国の外交的枠組みにとってはベストな存在になろうとしています。代償に日本が払うのが米国の経済「属国化」と中国への朝貢です。私たち日本人がこの屈辱に耐えることができるのかどうか。問題はすべてここにかかっているのです。
ですが、米中も万能ではありません。成長すればするほど自然破壊と社会的混乱を激化させつつある中国、70年代の金ドル交換停止以来、長期的に見て経済的覇権の地位から滑り落ちつつある米国。彼らは今後も日本の財政的協力と技術支援を不可欠にしているのです。米中デタントのアキレス腱は「日本収奪」なしにその成功が期待できないところにある。
まともな国家戦略もないまま、唯々諾々と北京とワシントンのポチに成り下がった政治家のあり様が大問題なのです。「攘夷」のためにこそ「倒幕」が必要なのです。
今日も簡単に。
必要があってここ数年の総合雑誌に掲載されたアジア関連の記事を読み漁っています。感想を言えば無残です。朝鮮半島についていえば、米中関係を背景において北朝鮮情勢を見るという視点がないのです。これは台湾も同様で、ここでも米中デタントという情勢の変化を読み込んでいません。なかでも運動論に立脚した記事ほどそれが露骨です。
22日の台湾総統選挙は残念ながら馬英九国民党候補の勝利の流れです。また同時に開催される台湾名の国連加盟国民投票も展望は明るいとはいえないようです。
仮にそうなれば、朝鮮半島といい、台湾といい、保守派の米中対決論を下敷きにした分析はことごとく裏切られることになります。
北朝鮮について私が疑問でならないのは、なぜかこういう方々は「ライスが悪い」「ヒルのバカタレが」という批判だけを繰り返すことです。ライスもヒルもブッシュ大統領が任命し、彼の外交的枠組みのなかで「一生懸命」やっているのです。議会やメディアがいくら叩こうとも、です。
なぜこんなことがわからないのでしょうか。「ライスとヒルのバカ」がやっているのがブッシュ外交なのです。なぜブッシュは変身したのか。その真摯な総括なしに情勢を語るとすればまたまた同じ過ちを積み重ねることになるでしょう。
ブッシュを正面から批判できない脆弱な「保守」。ダメだ、こりゃ、とドリフのチョーさんが生きていればそういうでしょう。「右」も「左」もワシントンに、北京に、と「お願い」だらけの「美しくない」ニッポンばかりが目につきます。
1年に1回開催される全人代が始まった。チャイナウオッチャーにとっては情報のかき入れ時である。私も毎日毎晩CCTV(中国中央電視台)はつけっぱなしで、必要な報道は録画して再視聴している。いい時代になった。以前は大会のライブ情報は短波ラジオでしか収集できなかったからだ。だが短波は辛い。夜中と早朝以外はまともに聞こえない。
自宅の仕事部屋の外に長いアンテナ(7メートル)をつけ、窓際に短波ラジオ(ナショナル製で、20年前で10万円はした)をおいて、静かに周波数を合わせ、カセットレコーダーに録音するのだが、アンテナ線を室内に引きこんでいるので、冬は寒風が、夏は暑さがもろに部屋のなかに侵入してくる。その後、録音したテープを聴き、数日後に中国から送られてくる人民日報や解放軍報の記事と参照するのである。これが当時普通のチャイナウオッチングのスタイルだった。
だから初めて中国を訪問してホテルのテレビ番組を見たときはオーバーではなく、大感動であった。雑音もウエーブも全くなかったからだ。
涙が出そうだった。それが嬉しくて、嬉しくて私は毎日毎晩ホテルのテレビばかりを見ていた。
先日ある中国人と会食した際、『記録新聞』の話題で大いに盛り上がった。「記録新聞」とは直訳すると『記録するニュース』。日本ではまずお目にかかれない報道の仕方で、ラジオでニュースを流す際に、人名や地名をいちいち丁重に漢字で説明するのである。たとえば『周錦』という地名があるとすると、「周」は周恩来の「周」、錦は「錦江」の錦という説明がそのつど繰り返されるのである。理由は国土が広く、漢民族を除けば、少数民族は55と多様で、文盲も少なくないため、正確にニュースを伝えるには極め細かい説明が不可欠とされたからだ。
先の中国人は紅衛兵世代で、彼もまた当時毎晩「記録新聞」をよく聴いていたという。「青木さん、もう中国人でもそんな番組があったことは知らないですよ」。そうだろうな。
政治的に加工された公式情報を読んでも本当のことはわからないという声もある。一概には否定しないが、『開放』中国はまだまだ報道までが開放されているわけではないし、なによりも共産党最高指導部内の政策決定過程はオープンにされていない。これは今も最高機密である。
だから公式報道を『読む』ことが必要になる。なにが書かれていて、なにが書かれていないのか、ここが最大のポイントになる。
20年前、中ソ和解が噂され始めていたころ、ある総合雑誌に次のような記事を書いた。「わたしたちは早ければ来年前半(89年)中ソ首脳の30年ぶりのにこやかな会見の光景を目撃することになるだろう」と。
おそらく私のこの予想が世界でも最も早かったはずで、米国大使館がこのレポートに注目していたと、後で第三者から聞かされた。
だがそれは例外で、記事は酷評された。「まだまだ対立はすさまじい。そんなに短期間に正常化が実現するはずがない。ありえない」。だが翌年5月ゴルバチョフソ連書記長は中国を訪問、鄧小平や趙紫陽総書記と会見し、中ソは和解した。
以前経済産業省の高官相手に中国東アジア情勢を解説したレポートを書いていたことがある。ここでも、中国の草の根の反日モードの拡大、上海で森ビルが建設計画中の世界金融センタービル建設の直面している政治問題、それに米国企業と中国共産党幹部の子弟との密接なつながりなどのインサイド情報をあきらかにしたが、そうしたスクープも中国の公式報道の丹念な積み重ねなしには不可能だった。ここが分析のバックボーンになる。
これから中国市場経済の胸突き八丁が始まる。共産党の政治的手腕が問われるだろう。だが想像以上に共産党の信認の危機は深まりつつある。米国は中国の「危機」を座視しないだろう。
公式報道からはそんな予想が見えてくる。
簡単に。
先日のライス米国国務長官の来日の際、米国側から日本政府に対して、北朝鮮との「話し合い」に日本の協力を要請し、わが国に「拉致の出口論」(正常化先行論)を取るように、との意向が伝えられているようです。
ブッシュ政権任期中に、北との関係改善にめどをつけたい米国から福田政権への対話「圧力」は一層強まるはずです。
また22日には台湾で総統選挙と台湾名での国連加盟国民投票が実施されます。米中は声をそろえて大反対を合唱しています。
朝鮮半島と台湾海峡。冷戦時代なら米中激突の最前線だったこの地域はいまや両国の協調の場に姿を変え、北においては金政権の延命が、台湾では独立化の阻止が、それぞれ相互に確認されているのです。北京とワシントンとの間にはいまや安保なき「安保」体制が事実上生まれつつある。
この事実を直視しない現状「分析」は無効であると私は考えています。11日のチャンネル桜「爆弾!」でさらに最新情報も交えて突っ込んで解説します。
今日は「チャンネル桜」の宣伝のみ。
「チャンネル桜」の本日の「報道ワイド」(三輪和雄さんと櫻林美佐さん)に出演、毒入り中国食品と日中関係について話しました。中国政府はこの件について居直ることで、国内の排外主義的なナショナリズムに迎合し、日本は日本で福田総理が「中国の対応をよくやっている」などと訳のわからない発言をしたことで、国内の対中強硬論に火をつけた形です。
胡錦濤の4月になるのか5月になるのか、来日自体に変更はないようですが、中国サイドが強く要請していた「戦略的互恵関係」をキーワードにした共同文書の作成ができるのかどうかは黄信号が点滅中です。
安全な食品の検査体制もいいかげん、東シナ海の海底資源問題も未解決のまま、財界主導のビジネス先行の友好劇はもうやめていただきたいものです。
まだあります。8月8日から始まる世紀の祭典五輪は日本人選手に対するむき出しの敵意が噴出するはずです。メダルの獲得数でも日本つぶしが活発化します。
三輪さんの「河野洋平は中国人席で、日本を応援してほしい」という発言には笑いました。河野洋平はこの反日五輪に「北京五輪を支援する国会議員の会」会長として参加します。もちろん公費での訪問です。
およそ先進国では考えられない話ですが、日本ではマスコミも野党をこれを特に異様なものとは感じないのです。朝日は中国の日本批判を政府バッシングに利用できるし、財界は贖罪の証としてのODAでビジネスの保険が成り立ちうるし、政治家は間に立ってコミッション料を懐に入れる。
拝金と腐敗まみれの中国共産党幹部たちは朝日新聞の論調に大歓迎です。謝罪とは彼らにとってマネーの代名詞なのですから。
櫻の名物番組となった「爆弾!」にも出演します。3月11日放送です。
荒木和博調査会代表、司会の水島総社長と三人の対談で、朝鮮半島情勢について話します。米朝対話の基本的トレンドに変化はなく、話し合い決裂論の過ちはチャイナファクターを無視していることにあり、北の「強さ」とは戦術的レベルのものでしかないことを紹介します。
情報収集にはお金がかかります。是非「S-TV」に加入を!これまでの番組も見れます。






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