2008年6月記事一覧
最近、あちこちで『政治家になりませんか』『政治家になってください』と言われます。苦笑するばかりです。
私は単なるひとりのジャーナリストに過ぎない人間です。これ以上でもこれ以下でもありません。
ですが、私程度の人間にまで、そんな声が聞こえてくるところを見れば、いかに政界に人材が払拭しているのか、そして日本国民が中国アジア外交に対して強烈なフラストレーションと危機感をもっていることが原因なのでしょう。
また同時に、これも最近『ファンレター』を少なからずいただくことが多くなりました。励ましには感謝していますが、お礼は仕事で返します。それで勘弁していただきたい。
以前著名なジャーナリストの先輩が『サインをしてくれ、写真がほしい、と頼まれて大変なんだ』とぼやいていましたが、彼ほどではありませんが、なんとなく気持ちがわかるようになりました。
生意気な書き方で恐縮ですが、私への「過大評価」の裏にあるのは間違いなく現実の閉塞感です。中国北朝鮮の無礼に対してノーと言えない日本。政府外務省ばかりではない。これを牽制すべき野党も民主党、共産党、社民党と総与党体制にある。メディアもひどい。土下座報道の花盛りです。こうして北京政府に取り込まれる一方の日本への苛立ちは社会の底辺でマグマのように沸騰している。断言してもいい。このままならいずれ要人テロが発生するでしょう。議会も報道も機能不全に陥ったとき、テロこそが『世論』を代表しうるという負の歴史的教訓を政治家の方々も胸に刻んでおくべきです。なかでも北朝鮮拉致問題は要注意です。
13歳の横田めぐみさんを拉致した金正日政権に対する怒りは日本人の琴線を揺さぶる地雷原となっている。『バスに乗り遅れるな』と叫ぶだけの状況追従主義の北朝鮮外交はおろかにも日本人の正義のナショナリズムを敵にしようとしています。
正直書けば、なにも、原稿に追われているこんな時期に、と思わずにはいられないのですが、とうとうライス国務長官が北朝鮮のテロ国家指定解除を明言しました。今後の動向について識者の意見は必ずしも一致していません。解除は困難であり、解決は次期政権に持ち越されるとの見方も存在しています。
ですが問題はそこにはない。私たちが直視すべきは潮の流れであって、波の高低ではないのです。時代の大きな変化とトレンドにこそ注目すべきなのです。
私は「北朝鮮処分」「拉致処分」、そして「敵国になり得る国米国」のなかで繰り返し、繰り返し、馬鹿のひとつ覚えのように5年間もこう述べ続けてきました。「北朝鮮と台湾に東アジアの現存秩序を破壊させないことが米中の共通利益である」と。
朝鮮半島と台湾海峡はリンクしている。両者は米中対決の最前線であったからです。ならば両国の戦略的協力関係にはこの地域の安定こそが大前提になるのです。
今回の米国の対北朝鮮融和外交と平行して中国大陸と国民党の台湾が急接近している事実はそうした米中のアジア戦略がソフトランディングしつつあることを裏書しています。
もはやアジアで米中両国が対決する可能性は限りなく小さい。冷戦「保守派」は依然として米中関係を対決の側面からしか見ようとしないのですが、それは一面的です。両国関係の本質は「対決もあれば協調もある」。この二面性こそが重要なのです。
事実上誕生しつつある『米中安保』体制。当然日米安保はこれまでとはその意味を変えていくでしょう。
だがほとんどの日本人はまだこの事実に無自覚です。
「拉致処分」は大きな時代の幕開けになります。当然、言論界もあらかじめ結論ありきの「プロレス」ではなく、シナリオなき「総合格闘技」へと向かわなければなりません。当然これまで大きく情勢予想を外した「専門家」たちは言論のリングを降りるべきであろうと思われます。
追加
荒木和博さんと相談して7月11日に戦略情報研究所でミニ集会をやることになりました。
私はパネラーのひとりとして参加して、「日朝正常化に蠢く政財界の内幕」と題して、昨今の政治家や企業の正常化利権や特需に関する動きを紹介します。
参加者との質疑応答の時間も取ってあります。これから『左派』の贖罪歴史観と政治家の正常化利権、そして財界の支援特需の3大ハーモニーが『東アジアの平和と安定』というタイトルで演奏開始となります。
福田首相の北朝鮮正常化シフトについて「特に驚きもなし」とブログには書きましたが、私の周囲は慌しくなってきました。いくつか質問や疑問が届いています。
こういう時期はあれこれ騒ぐのではなく、まず冷静に彼我の関係をじっくり解読することが大事です。大情況と小状況ですね。
いま荒木和博調査会代表と相談していることがあり、仮に話がまとまればブログで公開します。
それにしても「救う会全国協議会」はどうにかならないものでしょうか。腰の据わらなさ、スターリン的作風、情勢分析の稚拙さ、主要メンバーが安部政権のブレーンであったという悲しい現実が短かった同政権の楽屋裏を想像させます。
彼らや中山恭子さんがひたすら中国政府に対して「拉致で協力を」とすがりつくバカらしさは繰り返し指摘してきましたが、これも総括はナシ。それでいて、国民のカンパだけはいただきたいというのですから、詐欺のようなものでしょう。主要幹部はこの際責任をとって辞任すべきです。
安部政権とブレーンについてはいずれ私の見解を明らかにしたいと考えています。
一言で言えば彼らは討幕派ではなく、公武合体派だったということ。政権が誕生して、これから敵陣に切り込むべきときに、酒盛りをしていた方々である、と私は思っています。残念ですが。
今日は簡単に。
「表現者」の最新号が届きました。今月号から版元が変わり、ジョルダン(株)が発行することに。
私は榊原英資さん、三浦小太郎さんとともに、新連載「青木直人のチャイナウオッチング」を担当することになりました。
富岡編集長によれば「売れ行き次第では月刊の可能性もある」とか。同誌の売りものは西部邁さんたちとの巻頭対談ですが、次号ではぜひ近代アジア主義と「東アジア共同体」をテーマにしたいと伝えておきました。
総合月刊誌を見ても、情況の解説ばかりが目に付きます。しかしもっと大きな視点から大時代を論じていかないと、現状の後解釈に終止してしまいがちです。
先日のチャンネル桜の討論会でも話したのですが、秋葉原の大量殺人事件についても同様の感想を持ちます。彼がなぜあんなことをしたのか、もっともらしく解説する識者の発言に私は違和感を持ってしまいます。
人の心の闇がそれほど簡単に赤の他人に読解できるのなら、そもそもあんな事件そのものが起こりえたのかどうか。情報がひたすら消費されるだけの現在。事件の鮮度は後数週間でしょう。
福田内閣が北朝鮮との「正常化」に向けて大きくシフトを始めました。この内閣の本質についてはこれまでこのブログでも散々書いてきましたし、「拉致処分」「敵国になり得る国米国」でも、それこそ馬に食わせるほど(笑い)指摘してきたので、これ以上は触れません。
ただこの件についていくつかのキーワードだけ書いておきます。
(1)米中出来レース
(2)「贖罪派」と賠償「利権派」の麗しきハネムーン
(3)「ノーと言えるニッポン」再建へ!
その上で一言だけ。ブッシュとライスに言っておきたい。
民心と求心力を喪失しつつある政権に外部からいくら「支援」しても効果はない。これが歴史の教訓である。
あなた方は米国の膨大な援助を手にした蒋介石国民党の背走と南ベトナムのゴ・ディン・ジェム、グエン・バン・チュー政権の崩壊から何を学んだのだろう。
いずれ情勢分析はポチポチやります。
講演のお知らせです。
7月29日(火)
「チベットも地球も破壊する、中国共産党と日本のODA」
場所 阿佐ヶ谷ロフトA 参加費 1000円
オープン 18・00 スタート 19・30−22・30
司会 佐藤悟志 ゲスト 青木直人 三浦小太郎
当日は時間もたっぷりあるので、尊敬する三浦さんや佐藤さんたちとODA以外にもアジア主義から中国革命論まで論じ合いたいと思っています。今からワクワクです。
関心のある方はぜひご参加ください。
小学館の『SAPIO!』の名物編集者である平田久典さんからメールが届きました。彼は現在社の海外研修制度を利用してイギリスに留学中です。
平田さんはまだ30代の青年ですが、業界有数の有名人で、いまをときめく佐藤優氏が拘置所にいたときからコンタクトし、昨今の大川周明ブームの火付けになった彼の『日米開戦の真実』を編集制作した男です。二人は出版に際し、事前に山形県の大川市の墓参りも行っています。
実は私も以前からこの大川のラジオ講演の内容を読んでみたかったのですが、なかなかその機会を得ることが出来ませんでした。
ただ一回古本市で、時代モノの講演録が売りに出されていたことがあり、入手したかったのですが、たまたまそのときは、加治木常樹の『薩南血涙史』と佐々友房の「戦砲日記」の方に手が出てしまい、この本との出会いは実現しませんでした。
大川氏の著作で私が愛読したのは「安楽の門」で、これは筑摩書房の「アジア主義」の中に収められています(現在絶版)
昨今の大川ブームを見るにつけ、旧態依然とした左右の対立軸の不毛さを思わずに入られません。
平田さんのような優秀な編集者が日本人の誇りえる知的遺産を再発掘してくれることを願っています。彼はこの夏からは米国に移り、留学生活を続けます。
講演のお知らせです。
来る6月21日(土)に『日本世論の会神奈川県支部』の主催で『独裁国家中国の動向』と題して、最近の中国情勢について話します。
同会の総会にあわせた記念講演になります。ぜひご参加ください。
時間は午後5時半から7時40分まで。講演は6時からです。
場所はJR横浜西口から徒歩5分の「かながわ県民センター」402号室です。
参加費は1000円になります。
連絡先
木上 0467-43-2895
例年6月になると落ちつかない。鮎つりの解禁シーズンだからである。
中学時代はよく川に行った。故郷の高津川は水質は日本一で、四国の四万十川よりもキレイである。剣道部の活動を終えると、友人と昼は鮎つり、夜はうなぎ釣りにと、川に通い、そうして毎日が過ぎていった。
ああ,釣りに行きたいな、と思いつつ、一日中、原稿を書く。
やや旧聞に属する話だが、日曜日の朝のフジテレビの報道番組『報道2001』に長くレギュラー出演していた竹村健一さんが『引退』された。お疲れ様でした。竹村さんには随分お世話になった。最初の出会いは私の「田中角栄と毛沢東」を読んだ竹村氏が自分の文化放送の番組に出演を依頼してくれたことだった。
『竹村さんが感激して、これはすごい本だ、ぜひ筆者の青木さんを番組に呼んでくれと携帯に電話があった、まだ本を読んでいる途中に、です』と報道部長が内実を話してくれた。素直に嬉しかった。
以後彼の番組には数回出演させていただいた。ただ私は基本は活字人間なので、どうしてもそちらの仕事にシフトしがちで、最近はラジオでコメントすることもなくなった。電波は記録に残らないし、よほど腹を据えて関わらないと、緊張感が薄れ、流されがちになる。
その結果、いつの間にか『ジャーナリスト』が『文化人』に変貌してしまう。地上波のワイドショーや報道番組が娯楽番組化するのは『ジャーナリスト』が関与していないからだ。
日本ではワイドショーという「井戸端会議」の場で国際情勢が論じられている。竹村さんにはそうした現実が見えていた。それだけに彼はニュースをお茶の間の視聴者にどうわかりやすく伝えるのかに敏感だった。そういう点において彼は間違いなくプロのなかのプロだったと思う。
いろいろ勉強させていただき、ありがとうございました。
その出会いのきっかけになった『田中角栄と毛沢東』だが、現在は絶版状態。いずれ最新情報を加えて、リニューアルしたいと思っている。田中角栄の「資源外交」の教訓は大きい。それは戦後日本が初めて自力で参加した国際的なパワーゲームだったからだ。『資源外交』は日中正常化とつながる。
毛沢東が死の直前に知ろうとしていたのが(実際は秘書が耳元で国際情報紙『参考消息』の記事を読んで聞かせたのだが)ロッキード事件の推移と田中逮捕の報道だったというだけでもワクワクするではないか。ロッキード事件が国際的な謀略だとまでは言わない。だが田中角栄は確かにアメリカの虎の尾を踏んでしまったのだ。遥かなり、田中角栄。
関東は毎日暑い日が続きます。
テレビ出演と講演のお知らせ
(1) 6月10日(火)の午後8時から1時間半、チャンネル桜の「桜プロジェクト」で、第2回目の北朝鮮映像の放送と解説を行います。今回は「市民」に焦点を当てて、外国人との接触をしようとはしない北の住人たちの姿を伝えます。国交正常化が実現しても、独裁政権が変わらない限り、国民同士の真の交流はありえません。
(2) 同じく12日(木)、13日(金)の討論×3に出演します。番組のキャスター参加の討論番組で、「キャスター」として出演するのは初めてです。
テーマは「四川大地震から見えるもの」です。何でも話してくれということなので、中国革命と共産党論を語ろうと思っています。最近中国共産党史を集中的に再読しています。この関連でトロツキーの「中国革命論」を読了したばかりです。実家の裏にある日本海の松林の下で横になって読書する快感は筆舌に尽くしがたいものです。
これでも高校時代はフランスの詩人ボードレールが大好きで、学校をサボっては日本海を前にして、彼の言う「青い空と大いなる雲」を飽きもせずに見つめていたものです。
あのころ、私は間違いなく、そこに未来を実感していたと思っています。
さて、その「中国革命論」を読めば49年の中華人民共和国の成立とは巨大な農民蜂起の勝利であったことが自然に了解できます。いま、農民は革命の最大の非受益集団に転落し、中国の安定を脅かす最大の社会要因になりつつあります。
また14日(土)の桜キャスターコラム特集では、「姜尚中東大教授を批判する・幻の東アジア共同体」を話します。
(3) 宝島ムックの巻頭対談でスポーツジャーナリストの二宮清純さんと対談しました。基本的な中国認識が似ていて、大いに盛り上がりました。二宮さんには以前「田中角栄と毛沢東」を「週刊現代」で書評していただいたこともあり、また別の機会に中国と米国、それに東アジア情勢についても論じ合いたいと思います。
(4) RENKの会員で、旧知の佐藤悟志さんからの依頼で、来月阿佐ヶ谷の「ロフトプラスワン」でライブトークをやることにしました。テーマは「日本の対中ODAについて」です。
(5) その他、中国と北朝鮮の高まる緊張関係の実態や、外資が撤退を始めた中国経済の先行きについても講演します。こちらは会員制なので、お知らせだけ。
(6) 本を書き始めました。今年に入って、2冊目の書き下ろしです。これから中国で何が始まるのか、を正確に読み込んだものにするつもりです。






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