東洋文庫はすばらしい(1)

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先月から単行本の執筆の参考に、と平凡社の東洋文庫を読み始めている。
まず「北京篭城・北京篭城日記」(柴五郎 服部宇之吉)である。筆者の柴氏は会津藩出身の帝国陸軍軍人で、これは彼が駐在武官として、1900年6月義和団が北京にある各国領事館を攻撃した際の体験談である。服部氏は当時留学生だった。60日間における篭城戦の様子が生々しい。
なぜいま、義和団なのか。今後中国の動向を見る際に必要なのは「民主」ではなく「愛国」という概念である。愛国攘夷意識を剥き出しにする国民感情はどういう動きをみせるのか。ここが注目点である。
義和団の登場は20世紀のグローバリゼーションの結果である。それから100年、中国は2001年12月WTO(国際貿易機関)に加盟することで、引き返し不能の決断に踏み切った。国際経済との一層のつながりを強化することで、成長を図ろうとしたのである。
その中国経済の失速が急激に進む。今年度はGDPが8%台に下がるとの予想も出始めた。
ちなみに昨年は11%台だったのだ。
8%。これは社会の安定にとって危機的な数字なのである。これ以下だと雇用が安定しないからだ。
この4月来日を控えた胡錦濤国家主席は「中国の金融危機の可能性」について言及し、温家宝首相は「今年の中国経済は困難。金融危機もある」と発言した。(海南島オアフ会議)
翌月、胡主席は来日し、以後本格的な対日微笑外交がスタートした。もはや政府には日本と喧嘩できるような余裕はない。
中国経済の失速と失業率の高まり。不満は都市の一等地の高級ビルに入居する外国企業に向かうだろう。「あいつらが中国人を搾取し、中国企業を倒産に追いやったのだ」と。
ここまではいい。だがさらに「あいつらを優遇し、子弟を外国企業の役員につけているのは共産党のお偉方ではないのか」の声がでるのかどうか。
そのとき平成の義和団の怒りは「買弁」に変わり果てた共産党に向かうはずである。
毎度毎度のことで腹も立たないが、日本政府にはこうしたチャイナリスクに対する危機管理体制は皆無である。


北京篭城―付北京篭城回顧録 (東洋文庫 (53))




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