金正日は「死んだ!」
金総書記が「死んだ」。物理的な生命はあるものの、政治的には死んだと見ていい。いま、北朝鮮は建国60周年にして最大の危機を迎えようとしている。ここ数日堰を切ったように、ソウルから、北京から、ワシントンから金正日総書記の容態について日々詳細な情報が明らかになっています。
なかでも注目は産経新聞の14日の北京からの報道です。これによれば、中国政府は金の容態を「脳卒中で倒れ、いまに四肢に障害が残っている」と断定、「回復には相当期間の療養とリハビリが必要」と指摘したというのです。後半はリップサービスであり、ポイントはすでに金が言葉と認識力をほとんど喪失しているという点にあります。
産経は当然ソースを秘匿していますが、間違いなくこのひとつは中央連絡部2部で、ここは北朝鮮と日本などアジア地域の一部の国を担当している党の対外セクションであり、同時に6者協議を影で仕切り、労働党とも深いパイプをもつ党機関なのです。
1か月前に倒れた金総書記。彼の不在の政局が通常になりつつある兆候は14日ロシアのメドベージェフ大統領の誕生日に指して、金総書記から送られた祝電に肩書きがついていなかったことにも表れています。
これまで金総書記は「朝鮮労働党総書記』と「国防委員会委員長」の二つの肩書きを併用するか、単独で使用することが普通だったのですが、今回初めてこの肩書きが消えている。
次は10月1日、中国の国慶節がポイントになります。史上初の五輪開催を成功させた中国で行われる記念すべき最大の国家的行事には、金正日と朝鮮労働党からの祝電が送られる予定で、そこでも今回のように金正日に公的な肩書きが見当たらないとすれば、金は政治的に死んだということなのです。
スターリン時代以来、官僚制と個人独裁が特徴の社会主義国において、指導者の肩書きこそ最大の政治的「正当性」のシンボルであった。封建的土壌と共に、こうしたスターリン主義的政治文化を色濃く残す北朝鮮において、党と軍の最高指導者の肩書きが消えているという事実は深刻です。
なかでも伝統的に友好関係にあるロシアと中国への最高レベルの祝電に北朝鮮のトップの肩書きがないとなると、金総書記はすでに「総書記」と「国防委員長」の職務を果たしていないということを示唆する外交メッセージとなるのです。
今現在、北で進行中の事態は超独裁者だったスターリンの脳溢血による死が秘匿され、マレンコフ、べリア、フルシチョフらの集団指導体制が誕生した故事と重なります。
それにしても中国からの極秘情報は直ちに米国に通告され、それは早くも9日の段階で米国情報関係者の口から「金総書記が脳卒中を起こし、重体になっている」と報道機関にリークされている。これは9日の60周年式典に予想どうり金が登場しなかったことを受けての情報戦略の一貫であり、米中両国の情報協力関係はスムーズです。
翻って、「相手の嫌がることはしない」と中国大好きな宰相をいただく日本には戦略的互恵関係にある中国からトップシークレットは伝達されていたのでしょうか。
6兆円も中国向けに援助をし、それでいて、なんの通告もないとするならば情報敗戦どころの話ではありません。
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