「蟹工船」
最近中国でビジネスを展開しておられる方とお話しする機会が増えています。中国がWTOに加盟したのは2001年の12月。その一年前くらいから将来の中国ビジネスの障壁が下がると判断して海外からの旺盛な投資が始まりました。
あれからほぼ7年、この間全国に拡大した反日デモがあり、北京五輪があり、株と不動産の崩壊が本格化しています。日本からの対中投資も05年の反日デモ以後、一転して毎年20-30%ずつ減少し、いまも歯止めはかかっていません。製造コストがアップしすぎたことも一因です。
明らかにチャイナリスクが広く意識されるようなってきた。だがこの事実は案外知られてはいないようです。
実業界の対中警戒感の高まりに比べて、マスコミの中国報道はまだまだ腰が引けています。ジャーナリズムの原則は帰納的分析であるべきで、これが演繹的にあらかじめ結論ありきでは、到底現状を解説することは出来ない。帰納的分析とは「個別具体的な事例から一般的不変的な規則を見出そうとする推論方法」(ウィキぺディア)のことですが、メディアは「個別具体的な事例」の報道にまだまだ及び腰です。それではいくら一般論としてチャイナリスクを言い立てても、説得力はない。
普遍的なものは個別具体的な事実によって裏付けられる必要があるのです。ですが、大手メディアがそこまで踏み込まないのは記者の取材不足とスポンサーの意向によるものなのでしょう。
ブログの「コカコーラ覇権」「コカコーラ覇権再び」のなかで指摘したように、コカコーラの市場独占に対する警戒の声が上がり始めている。注目すべきはコカコーラ批判が政府閣僚の一部からも上がっていること、同社が「米帝国主義のシンボル」としてネット世論で指摘されていること、最後に中国市場経済の命綱である米国市場で保護主義的な政策が強まりつつあることへの反発が存在していることです。
共産党内の教条主義左派と新左派が開放政策・市場経済への牽制と米国叩きのカードにこうした「世論」を利用し始めています。
「躍進中国」の市場経済も膨大な「蟹工船」を生み出している。話は脱線しますが、中国共産党と友党関係にある日本共産党も「蟹工船」で党員が増えたとはしゃいでいる場合ではないのではないでしょうか。共産党の組織自体も「蟹工船」なのですから。なんでもかんでも資本主義を批判していればOKというものでもないでしょう。すこしは「自己批判」という言葉の意味を噛み締めてもらいたいものです。
話を戻します。反米と反日は一面「開放政策批判」の側面をもっている。この事実は3年前の反日デモの総括として私が繰り返し指摘してきたことでもあります。「日本製品ボイコット」「日本企業の中国投資反対」の本質は反日ではない。これは党中央の路線「改革開放政策」への異議申し立てなのだ、と。
さて、コカコーラがキッシンジャーの政治力を利用したように、上海のビール市場で優越するサントリービール(三的碑酒)もまた解放軍実力者王震副主席の「バックアップ」を得ていました。それが市場シェア確保のもうひとつの理由なのです。これも新聞には書けない事実です。わがブログも後2ヶ月。会員制のニューズレターの発刊を考えています。
10月と11月の講演もよろしく。
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