1枚の葉書

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このお正月も何人かの政界関係者の方から『真面目に選挙に出馬することを考えてみませんか』と言われました。申し訳ないのですが、『考えてはおりません』。
『一体どの辺が政治家向きなのですか』と質問すると『青木さんは演説がうまい!』と褒められました(笑い)。笑ってしまいました。

私は今後もひとりのジャーナリストでありたいと思っています。
そもそも私が始めて原稿料というものをいただいたのは、30歳近くになってのことで、ラジオの放送原稿でした。TBSラジオの若者向け番組で、週に一回高校生から大学生向けに硬派な本の紹介と解説を書いていたのです。私の原稿を読み上げてくれたのがあの女優の宮崎淑子さんで、ラジオから彼女の声が聞こえてきたときには大感激でした。
最初の原稿料は10%の印税を引いて9000円でした。そのお金で以前からほしかった高額の専門書を買い、それを抱えて神保町の行きつけの喫茶店で、熱いモカコーヒーを飲みながら、こうした文筆業で生活できれば、すばらしいことだな、と思っていたのです。

私の仕事場の机の前には一枚の葉書が貼ってあります。私の熱心な読者の方からのお便りです。この方は私の処女作『日本の中国援助ODA』以来、一冊ももれなく全ての著作を買っていただいている人で、西日本のある城下町に住んでおられます。

『いつも青木さんの著作を楽しみに拝読しています。よくぞここまで掘り下げた取材を積み重ね、明快な結論を示してくれるものだと感服しています。日本はどうなるのだろうかと暗澹たる思いに駆られる毎日ですが、青木さんの書かれたものを読むことで、まだまだあきらめてはいけないと自戒しています。いつもは葉書の投函を嫁に頼むのですが、今日は杖をつきながらですが、自分でポストに投函させていただきます。青木さん、頑張れ』。

この80歳を超えた『ファン』の方の言葉に付け加えることはなにもありません。
私は今後もひとりのジャーナリストとして、こうした読者の方々の思いに答えていきたいと考えています。


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