2010年6月記事一覧
27日の岡山の講演は参加者からの質疑応答も活発で、大変後味のいい終わり方ができました。NLCの会員の方で男女二人の友人を連れて参加してくれた青年、福岡から駆けつけていただいた方、また広島から参加くださった女性の方々、さらに四国からこられた方の数は相当数になりました。
●話の中では中国大使の人事問題に関心が集まりました。丹羽宇一郎新中国大使が数ヶ月前まで相談役のポストにいた総合商社・伊藤忠の中国ビジネスの知られざる実態がマスコミでは報じられることはありません。同社のHPには「中国最強商社」と自画自賛の言葉が並んでいますが、なぜ伊藤忠が「最強の商社」に上り詰めたのか、その理由には表面的にしか触れていません。
それがなんであったのか、を具体的にお話させていただきました。
●会場からの質問のうち、時間の関係で回答できなかったものは約束どおり、いずれブログに書かせていただきます。いま、すこし時間をください。
●嬉しかったのは参加者に若い方が圧倒的に多かったことです。
大体、私の講演は他の保守系論者たちの人たちのそれとはすこし違っていて、30代の参加者が一番多く、さらに40代の方を加えるとほぼ毎回3分の2はこの世代で占められています。彼らは「保守」の現状に飽き飽きしているし、「紅白歌合戦」的な世界観も受け付けない現実派でもあります。
「冷戦脳」のオールド世代にだけにしか届かない「保守」の講演からは予定調和な結論しか聞こえてきません。このままなら言論の質的劣化は否めません。
●「NLC岡山の会」の守岡さんの手作りのお弁当を控え室でいただきました。お世辞抜きで旨い!彼はこういう点、妙に謙虚で、宣伝をしないのですが、皆さんも倉敷に足を運ばれたら、「御春(みはる)」ののれんをくぐってみてください。味はばっちり保障します。
「御春」(月曜日お休み)
岡山県倉敷市羽島280-1 電話 086-434-0144
●岡山にはおいしいものがたくさんです。もうひとつお勧めが赤丸上昇中の津山市名物「ホルモンうどん」です。焼きうどんと牛ホルモンのミックスがたまりません。その津山の会員のSさん、受付ありがとうございました。
また、守岡さんと二人で岡山の会を支えてくださっている小橋さん、ありがとうございました。夜遅くまで車中で話せたことがいい思い出になりました。
二次会に参加していただいた会員の方にもお礼を申し上げます。またやりましょう。
6月29日 午後11時 横浜にて
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。

6月29日、午後7時、ニューズレター・チャイナVol.066号を配信しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
丹羽宇一郎・中国大使(伊藤忠前相談役)就任の背景をさぐる
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お手元に届いているかご確認ください。
■ニューズレター・チャイナが配信されないという場合は、http://aoki.trycomp.com/NL/haisin.html からご連絡下さい。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。

岡山のホテルで書いています。
明日の講演に備えて、前日から鉄壁の体制を強いているのですが(笑)、羽田空港で「本日は岡山は気候が不安定で、場合によれば伊丹空港か、羽田に引き返すことがございます」とアナウンスされた時は焦りました(笑)。
結局通常どおりに岡山につくことができたので問題なかったのですが、3月のときは台風、今回も危うい天候と、なにかの祟りではないのか、とつい思ってしまいます(笑)。
新聞テレビの参議院選挙の得票動向が出揃いました。民主の過半数独占はなく、ほどほどの票を取るだろう、自民は一人区でもこちらもほどほどの健闘、国民新党、社民党、共産党はさらに少数化、第三極は「みんなの党」が躍進。
ほぼ、調査の傾向はこんなところです。
政党も民意も浮遊するばかりです。
■■ 講演会開催のお知らせ ■■
【開催日】 平成22年6月27日(日)
【場所】 岡山コンベンションセンター 407会議室
〒700-0024 岡山市北区駅元町14番1号
Tel.086-214-1000 Fax.086-214-3600
http://www.mamakari.net/map/index.html
【時間】 開場 13:00
開演 14:00〜17:00
【料金】 NLC会員 1,000円
一般参加 1,500円
【お問合せ】 nlc_okayama@yahoo.co.jp
担当 守岡 吉春まで
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。

6月21日、午前3時、Vol.065を配信しました。
届いているかご確認ください。
今号は動画配信です。
タイトルは、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
動揺する中国進出企業
〜急浮上したチャイナリスクの数々
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ニューズレター・チャイナが配信されないという場合は、http://aoki.trycomp.com/NL/haisin.html からご連絡下さい。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
小学館の発行する[SAPIO]の先月号に、2008年に中国向け円借款が廃止された後も、依然としてさまざまなルートから中国に対する経済支援が行われている事実をレポートしました。早速読者アンケートがあがってきたのですが、好評だったようで、安心しました。これまで、ODAなど対中援助関係のレポートは大手マスコミが談合でもしたかのように、まったく報じないこともあって、読者の反応は実にビビッドで毎回、「始めて知った」「信じられない」という声が圧倒的です。
「SAPIO」では以前にも、アジア開発銀行(ADB)など第3機関を通じて中国に行われている迂回融資の実態を5回にわたって紹介しましたが、このときは、同誌の人気シリーズである「ゴーマニズム宣言」を抜いて読者アンケートでトップになったことがあります。講談社の「フライデー」の特集記事でも「一番面白かった記事」に選ばれました。読者の関心が高いテーマです。
ただ、ジャーナリスとして本音を言えば、このテーマにはなかなか簡単には書くことのできない困難さもいくつかあります。作業は公開情報の吟味からスタートします。
最初がまずODAの管轄・外務省。
同省のHPにある「ODA」にアクセスするのですが、このなかの中国向けODAの数字やプロジェクトを見ただけでは、いったいなにが問題なのかがわからない。
鍵は援助の種類、地域、中国側の担当セクションと受注企業などにあるのですが、仮にそれが判明したとしても、当然、それだけでは、国民にはそのことが、どういう意味をもつのかは理解できない。
たちの悪いことに、外務省はプロジェクトに関わる中国側企業名については「中国政府の意向」(外務省中国課)で、あきらかにしてはいません。世界一中国を援助していながら、こうした公開性の重要性をほとんど理解せず、ひたすら援助する日本の側が中国の顔色を伺っているのですから、納税者の納得を得られることはない。納税者とはもちろん、このブログを読んでいるあなたのことであり、読者の方々のことです。
ではわからないというのなら、どのようにして、不明点を調べるのか。ここからがプロの仕事になりますが、それがなにかは、秘伝のたれ。むやみに公開はできません。
さらに、プロジェクトそれ自体とは別に、このプロジェクトが立ち上げられた背景を見ることも必要です。当時、中国政府がどの分野に援助マネーを使おうとしていたのかがポイントになります。そのためにはその年の政府活動方向(首相が全人代で演説するあれです。もちろん温家宝なら温家宝が自分で書いているわけではない。国務院の官僚たちがゴーストライターです)を読み込むことが大事になります。
「中国ODA6兆円の闇」(祥伝社)を書いた時は人民日報の20年分のCDを検索し、政府活動報告ばかりか、援助に関して言及している「社説」「コラム」も全てチェックしました。これをプリントしておくことも忘れてはなりません。
重要なキーワードが隠されていることがあるためです。
国際援助団体の広報の貧弱さはアジア開発銀行や世界銀行といった大手の場合も外務省と並んで、似たようなものです。両行は米国と並んで、日本が最大の出資国なのですが、日本語のHPは「子供のおもちゃ」といったレベルで、中国向け案件などについてもまったく紹介されはいません。これではとても使えない。
その結果アジア開発銀行、世界銀行の中国向け融資については、現地の中国事務所のHPにアクセスしなければならないのですが、そのためには英語か、中国語かいずれかの知識が必要不可欠になります。
まだあります。中国の場合、人名、地名いずれも漢字で表記しますが、英語での地名表記の際は、これを最終的に漢字に変換する作業が待っているのです。
作業は中華人民共和国政府・新華社系列にある「地図出版社」発行のものを使います。この地図を机に広げながら、拡大鏡で細かい場所をチェックします。この年になるとさすがに辛いです(笑)。
こうした公開情報を組み立てて、全体の構図が見えてくれば、取材が始まります。援助関係者、企業の「中国屋」、それにインサイドな情報通にコンタクトして、ウラをとり、その後、原稿の執筆を開始します。
ネットを中心に大手マスコミ批判の声は大きくなるばかりです。しかしネットの情報はいまだにマスコミ報道を越えたとは言いがたい。マスコミが書けないテーマを深く掘り下げて、さらに全体の構造をあきらかにする。これからも、これが私の最大の課題です。
ジャーナリストの仕事は上記の如くです。デモや集会に出ることが本筋ではありません。それだけに、今回のSAIPOの読者の反応は嬉しかったです。
すし屋に入って、「なんだ。この店にチャーハンはないのか」と怒鳴れても困ります。すし屋のメニューにチャーハンはありません。うまいお寿司をひたすら握ること。評価は寿司の味でしてほしい。私は今後もこれで行きます。
■■ 講演会開催のお知らせ ■■
【開催日】 平成22年6月27日(日)
【場所】 岡山コンベンションセンター 407会議室
〒700-0024 岡山市北区駅元町14番1号
Tel.086-214-1000 Fax.086-214-3600
http://www.mamakari.net/map/index.html
【時間】 開場 13:00
開演 14:00〜17:00
【料金】 NLC会員 1,000円
一般参加 1,500円
【お問合せ】 nlc_okayama@yahoo.co.jp
担当 守岡 吉春まで
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
最初に結論から書く。
民主党・菅内閣の本質は「無国籍」内閣であって、いわゆる「サヨク」政権ではない。彼らにそれほど一貫した、体系だった思想的背景があるわけでもない。
私は保守系月刊誌「正論」などが盛んに民主党を「サヨク」あるいは、「左翼」政権であると決め付けることに以前から違和感をもっている。記事には民主党が「東アジア共同体」を語り、靖国参拝に反対し、東シナ海の中国海軍の跳梁跋扈に文句ひとつつけないというタイトルが並ぶ。
だがそれは民主党政権特有のことなのか。彼らだけがそうした「特異で」「売国的な」ことをしているのかどうか。冗談はよしこさん。
こんなことは財界も、自民党も同じようにしていたことではないのか。もちろん程度の差はあるだろう、しかし、日本経団連が「東アジア共同体」を提唱し、保守の希望の星と言われていた安倍晋三元総理は結局、靖国神社には参拝しなかった。
事実はこうなのだ。だからこそ国民、なかでも保守勢力の支持が民主党が駄目だからといって、即、自民党に帰っては来ないのである。
私は7月の参議院選挙で自民党はほぼ歴史的役割を終えるだろうと見ている。
問題はその後の政治風景がまったく見えないことにある。7月以後、日本はさらなる混迷の道に足を踏み出すことになるだろう。
時代の対立軸は「保守」と「サヨク」の二項論にはない。それは「紅白歌合戦」的世界観なのだ。経済のグローバル化と政治(文化)の一国性。資本の地球的規模の拡大と、しかし、にもかかわらず、人々は18世紀的な国民国家単位で生活しているという現実。このふたつの事実が摩擦を起こし、軋みを生み出し、歴史や文化との衝突を生じさせているのである。
グローバル化と国益をどう調和させるのか。政治家もジャーナリストも必死になって、このアポリア(難問)を解かなければならない。政権与党の総裁であった河野洋平が防衛白書が「警戒すべき」と指摘する中国の経済ロビー「国際貿易促進協会」の会長を勤めていたという現実。
この事実ほど、国家とはなにか、国益とはなにかという基本理念が不透明化している日本の現状をクリアにしたものはない。
奥田経団連元会長はトヨタの会長でもあった。彼は「総理、財界の中国での商売に差し支えるから、靖国神社参拝はやめてほしい」と言った。それはビッグビジネスの共通の思いであるとも。
靖国神社に参拝を繰り返した小泉首相がもっともこたえたのは社民党の福島みずほからの抗議ではなかった。冷戦時代から保守政党の身内だと見られていた財界からの強硬なクレームだったのだ。
奥田は別にサヨクではない。資本家も資本家、世界一の自動車会社のトップにいた人物である。こうした資本の国際化こそが、国益の定義をより困難に、さらに複雑化させている。
経団連はグローバル化(対中ビジネス)の障害になるから、時の首相に対して靖国神社公式参拝(国に殉じた英霊を祭るという国家固有の文化と歴史)をやめよと要求する。これは中国に国債を購入させ、投資に不利になるから、ダライラマとは会見するなと言う米国のビッグビジネス首脳の発言となんら変わらない。自由と民主という米国建国の理念は従来以上に資本のグローバルな経済的利益の前に沈黙させられようとしている。
歴史は単純に繰り返さない。目の前に展開しているのは、地球的規模の、新しい時代の、新たな矛盾なのである。経済の国際化と各国の政治文化の摩擦が地球的規模で拡大している。これは左右の対決という従来の構図では理解はできまい。
経済のグローバル化が進展する中で、日本人には、あるいは世界の人々には国益が何かということが冷戦時代ほど明確に意識されなくなっている。それが民主党的な無国籍政権(サヨク政権ではない)を違和感なく生み出してしまう政治的な土壌なのである。そして鳩山や菅らに代表される全共闘世代の政治家たちの無国籍的世界観と国境を越えて利益を追求する資本の脱イデオロギー性が奇妙な調和を保っているのが、今現在の日本の姿なのである。
民主党は無国籍気分のまま、なんとなく「地球市民」、ソフトなコスモポリタンの海を泳ごうとしている。それが国家に対する不感症、国旗に対する敬愛のなさ、GHQ丸写しの歴史観、領土・領海への無警戒となって表面化する。
菅は所信表明のなかで、鳩山に続いて、「東アジア共同体」を進めると言明した。ここにはEUという壮大な夢がいまや現実に崩壊のふちにあるという危機感は伺えない。共同体という言葉は美しい。だが異なる文化や歴史、それに生活習慣をもつ異民族が「共生」することの困難さが次々に露呈しつつあるのが世界の現実である。この能天気さはなんなのか。
それだけではない。軍国化する中国、一触即発の朝鮮半島に対する警戒感もない。ただただあるのは「隣国とは仲良くしよう」というだけの子供じみた願望である。彼らの頭の中には武者小路実篤的な「仲良きことはよきことかな」という理念しかない。なるほどこれなら確かに衝突はすまい。ただし、ひたすら日本が譲歩だけをしている限りにおいては、である。
事実、民主党はひたすら譲歩だけを繰り返す。そればかりか、よりによって、次期中国大使は伊藤忠の相談役だという。同社が膨大な賄賂を中国要人たちに包んできたことは業界人なら知らないものはまずいない。
日本側の一方的な譲歩は国益確保にはつながっていない。現在は新たな帝国主義の時代である。中国の北朝鮮経済支配の完成はその絶好の証左である。「武者小路」外交なるもののお花畑さをいずれ胡錦濤と金正日が身を持って、我々に教えてくれるだろう。
最後にもう一度。民主党がサヨク政権だというのは間違いである。これでは頭の中の「冷戦」は終わらない。
いまはまだいい。紅白歌合戦も視聴率50%はある。だがこれからさらに視聴率は落ちてゆく。そして、いずれ 番組それ自体が「なつかしの紅白歌合戦」となって、マイナーなテレビ東京に移っていく。こうして、紅白歌合戦は単に過去を共有する老人たちだけの懐メロになっていくのである。
私は「保守派」の方々にお聞きしたい。なぜ、保守のホープだった安倍晋三は靖国神社に参拝しなかったのか。それは彼が「サヨク」だったからなのか。答えられなければ、ここで「保守の時代」は終わるだろう。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。

菅直人新総理の持ち歌は「ギザギザハートの子守唄」だという。
「ちっちゃなころから悪がきで 15で不良を呼ばれたよ」
というあれである。これを
「ちっちゃなころから ちさかった」
とアレンジしたのが(?)吉本興業の池乃めだかであった。私は関西のコメディアンではこのめだかと亡くなった人生幸朗師匠が大好きで、彼が五木ひろしの「長崎から船に乗って」に「長崎から神戸に着いた」とあることに、噛み付いて、「わしは調べた。そんな航路はない!」とぼやいたときは大笑いであった。「調べた」というあたりが笑えるのである。
で、菅総理に話は戻る。ここ数日の彼の姿を映像で見るかぎり、発言が実に慎重である。言質を取られるのを極度に警戒しているのがわかる。それはこの内閣が所詮は追い詰められた民主党が緊急避難的に作り出した政権であることを十分に自覚しているからだ。政策の矛盾や整合性のなさはこの内閣においても続いてゆく。
菅はイラ菅と呼ばれるほど、切れやすい。他方、相手を論破せずにはいられないほど、攻撃的でもある。またその裏返しとして自己弁護と正当化も巧みである。このあたりは典型的な長州人であり、全共闘世代の代表のような人物である。だが、実はここが菅の最大の弱点なのである。彼は常に舌禍の可能性を抱えている政治家なのだ。
その菅だが、私は彼を評価しない。オンナと靖国が理由である。
過去、菅はある女性と不倫関係にあり、その事実を「週刊文春」にスクープされたことがある。この女性とホテルに行っていたという内容なのだが、菅は最後の最後までなにもなかったと否定を続けたのである。
さて、ここで質問である。皆さん、特に男性の方、どう思われますか。これ。
「ホテルに行ったがなにもなかった」(ははは)
「ホテルに行ったが何もしなかった」(大笑い)。
40を過ぎた男が記者の前でこう弁解したのである。この発言を信じられる方はこれからも民主党を支持しつづけてください。
私はこの女性に心から同情する。惚れた男とホテルに行った。それが暴露された。その瞬間、男は一転してなにもなかったとしらを切り続けたのである。
そればかりか、惚れた男の発言は「あの女とは赤の他人にすぎない」との言い訳に終始したのである。
私は思う。菅は命をかけてまで、惚れるに足りる男だったのだろうか。
かつて保守党に三木武吉という政治家がいた。彼には少なくない愛人がいた。
だが三木はそれを隠さなかった。演説中の野次にもこう答えた。
「女たちもみな年をとった。もうお座敷で声もかからない。だから俺が最後まで面倒を見る」。愛人という言葉に女性、特に若い女性は嫌悪感をもつかもしれない。だが私は三木武吉を人間として信頼できるような気がする。三木は非難の言葉に逃げなかった。そして「彼女たちへの責任は果たす」と言い切ったのである。
だが翻って、わが総理はどうだったのか。
「ホテルに行ったけど、なにもありませんでした」。これだけだった。
菅は三木武吉ではなかったのである。
まだある。菅総理は先ごろ訪米し、アーリントン墓地に献花した。私は驚愕した。戦争反対、靖国神社参拝は軍国主義の足音だと散々非難していた菅が米国の「靖国神社」には堂々と参拝していたからである。
アーリントン墓地には第二次大戦の犠牲者も眠っている。日本軍と戦い、広島長崎に原爆を投下した軍関係者もそこにはいる。言うならば敵国の軍人たちの英霊が集う場所なのである。
そこに菅は足を運び、敵国だった「米国の」軍人にだけは敬意を払ったのである。これが日本のリベラルを自称する政治家の姿である。
総理就任前後の発言でも、米国に対する配慮が目立つ。政権を維持するためにも米国との良好な関係は不可欠である。それがアーリントン墓地参拝の裏事情でもある。
だが、軍人でも米国人なら問題ないというのなら、マッカーサーが日本人を軍国主義から解放してくれたということなのか。生きていれば、人生幸朗は「責任者、出てこい」と激怒するだろう。だが、恐ろしいことに、ほかならぬこの菅が日本国の最高「責任者」なのである。
菅だけではない。リベラルを売り物にする偽者は山ほどいる。有名なところではあの松井やよりがそうである。天皇の戦争責任を糾弾し、日本軍国主義の悪行を死ぬまで告発したあの松井はなんと北朝鮮を訪問するたびに金日成の巨大な銅像に献花していた人物である。あの金日成に、である。あの北朝鮮の独裁者に対して、である。でいて、日本では天皇は許さないというのだから吉外である。こういう「贖罪バカ一代」を天まで持ち上げたのが朝日新聞なのである。
来るべき国会では野党は、上に書いた女性問題、それにアーリントン献花と靖国不参拝に整合性を問いただしてほしい。繰り返し、繰り返しやってほしい。
菅は間違いなく切れる。
映像はお茶の間に流れる。メディアが作り上げた「生まれかわった民主党」という虚像は、実態を持たないがゆえに、同じように印象操作によって崩壊する構造をもっている。
■■ 講演会開催のお知らせ ■■
【開催日】 平成22年6月27日(日)
【場所】 岡山コンベンションセンター 407会議室
〒700-0024 岡山市北区駅元町14番1号
Tel.086-214-1000 Fax.086-214-3600
http://www.mamakari.net/map/index.html
【時間】 開場 13:00
開演 14:00〜17:00
【料金】 NLC会員 1,000円
一般参加 1,500円
【お問合せ】 nlc_okayama@yahoo.co.jp
担当 守岡 吉春まで
※前回の中止でご迷惑をお掛けしました方々に招待券をお送りしました。
近日中に到着が無い方はお手数ですがご一報くださいませ。
NLC岡山 守岡 吉春
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
おりしも「竜馬伝」では、岡田以蔵が逮捕され、土佐に送られる。以蔵は拷問と武市半平太に裏切られたことからの不信と憎悪で、吉田東洋暗殺を自白してしまう。人は夢を見る。だが夢はそもそも現実ではない。そして人はいつか目を覚ますのである。
魯迅は言っている。「人生で一番苦痛なことは夢から醒めて、行くべき道がないことであります」(「ノラは家出してからどうなったか」)。
土佐勤皇党は岡田の「裏切り」をもって自己解体してゆく。それは山内容堂たちの「弾圧」のせいだけではない。観念に酔ったものたちの内部崩壊なのである。
土佐勤皇党は尊皇攘夷を叫び、客観的に考えれば、勝てるはずもない「攘夷」の言葉に酔った。その同じころ、同じ攘夷派とはいえ、討幕派の長州藩藩士にして、松下村塾の俊英であった久坂玄随はこう語っている。(「解腕痴言」)
「欧米諸国が日本を武力侵略してこないのは武士が強いからではない。彼らはインドのセポイの反乱や中国の長髪族の抵抗に学んでいるのだ。暴力的な支配は逆に諸国国民の抵抗を生み出す危険性があることを」。
情念だけでは成功は図りがたい。久坂のリアルな洞察力こそが必要なのだ。
ここで現在の政局に帰る。
風を起こさない限り、凧はあがらない。
なぜなら国民にとって「政」は日常のなかのひとコマにすぎないからだ。
国民は政治で飯を食っているわけではない。
平沼赳夫さんや山田宏さんは私の高く評価する政治家である。だからこそ、まだまだ工夫が必要ではないか。まだまだ仕掛けがいるのではないのか。
いまのままなら彼らの憂国の思いが不完全燃焼に終わるのでは、と私は危惧する。
「邑あるものは邑を投げ捨て、家財あるものは家財を投げ捨て、勇あるものは勇を振るい、智謀あるものは智謀を尽くし、一芸あるものはその技芸を尽くし、愚なるものは具をつくし、公明正大、おのおの一死をもって至誠を尽くし、しかるのち政教をたつべく、武備充実、国威張るべく・・」
(中岡慎太郎・「時勢論」)。
これは土佐勤皇党のメンバーで、早くに脱藩し、薩長同盟を事実上成立させた陸援隊隊長・中岡慎太郎の言葉である。
「時勢論」は鳥羽伏見の戦い直前に書かれた。なんと情熱的な檄文なのだろう!中岡は志あるもの、すべての総決起を訴えたのだ。
日本再生に必要なことはあらゆるところで、あらゆる国民が、それぞれ持つ力をそれぞれなりに、発揮することしかない。政治家こそが国民に、そうした思いを、さらに熱い言葉で語りかけるべきではないのか。
●6月27日に岡山で行う講演会では日本の政治状況や課題、それに中国経済、朝鮮半島動向を話します。現状では、以後、講演の予定はありません。
■■ 講演会開催のお知らせ ■■
【開催日】 平成22年6月27日(日)
【場所】 岡山コンベンションセンター 407会議室
〒700-0024 岡山市北区駅元町14番1号
Tel.086-214-1000 Fax.086-214-3600
http://www.mamakari.net/map/index.html
【時間】 開場 13:00
開演 14:00〜17:00
【料金】 NLC会員 1,000円
一般参加 1,500円
【お問合せ】 nlc_okayama@yahoo.co.jp
担当 守岡 吉春まで
※前回の中止でご迷惑をお掛けしました方々に招待券をお送りしました。
近日中に到着が無い方はお手数ですがご一報くださいませ。
NLC岡山 守岡 吉春
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
菅直人が民主党の新しい顔になり、好意的な評価が急増している。
だがこれはあくまでご祝儀評価であって、そう長続きはしない。
それよりも、民主党への支持率低下が自民と第三極への支持に向かっていないこと。こちらのほうが日本の将来にとって、中期的には大問題である。
小選挙区制で2大政党を目指すといわれてきた。だが現在、過半数に近い支持を得ている政党はどこにもない。これは二大政党が機能不全に陥っている証左である。
私は選挙での勝敗と行方と同じくらい、今回は投票率を最重要視している。上がるか、下がるか。たぶん下がる。理由はふたつある。
まず野党の側に、反民主という以外の旗が見えない。反民主だけでそれ以外の戦略・戦術はいまだに未熟である。
野党はこれまで敵失頼みに終始してきた。その結果、鳩山から菅にニュー民主党の顔が代われば、たちまち、打つ手は行き詰まりつつある。
野党が選挙において、対立軸を明確にできないと、まず勝利はできない。
政治の主導権は基本的に与党の側にあり、国民は民主にいくら不満であっても対決点と解決への道筋がクリアに提議されていない限り、投票場に足を運ぶことはしない。生活者にとって選挙とはそもそもハレの儀式である。前回の総選挙のように、「政権交代」という大きなスローガンがあって初めて、国民に俺の一票が日本を変えるかもしれないという「わくわく感」を持たせるのである。こうした感情と自民への愛想つかしの気分が民主党政権を誕生させたのだ。
だが今回は、民主への絶望を同時に、政党、政治家、そして政治そのものへのしらけとある種の挫折感が横溢している。国民は投票所に向かわない可能性が高い。低投票率の結果、公明党や官公労などの組織議員が相対的に浮上してくるだろう。
実はこうした低投票率こそ日本の本格的な危機の始まりなのである。選挙後はさらに国民の政治不信が加速することが約束されているからだ。
それは、選挙後、参議院において、過半数を失う可能性が高い民主党が野党に手を突っ込んで、多数派工作を行うのは自明だからである。
その姿を見て投票前からしらけきった国民は何を思うのか。「なんだ、あれほど批判しながらもう合従連衡かよ。政治家なんて最低だな」。
こうした気分がさらに加速する。
株価も下がる。民主与党の過半数割れが日本の政治リスクが内外で共有されるからだ。景気の回復はさらに遠のくだろう。
選挙の結果いかんにかかわらず、国民にはいっこうに政治の方向性が見えない。政党もそこを明確に提示できていない。これでは政治は混迷するばかりである。
参議院選挙は結局のところ、日本の混迷への一プロセスにすぎない。
まだまだ日本の夜明けは遠い。いずれテロが起こる。
● 6月27日(日)の岡山講演では日本の政治と中国経済、それに朝鮮半島の話をします。現時点ではこの日以外に、講演の予定はありません。
NLCに加入してくださった新しい読者の方からのメールです。「チャンネル桜の討論会から見ていました。また青木さんのお話を聞くことができて、嬉しいです」。ありがとうございます。励まされます。
■■ 講演会開催のお知らせ ■■
【開催日】 平成22年6月27日(日)
【場所】 岡山コンベンションセンター 407会議室
〒700-0024 岡山市北区駅元町14番1号
Tel.086-214-1000 Fax.086-214-3600
http://www.mamakari.net/map/index.html
【時間】 開場 13:00
開演 14:00〜17:00
【料金】 NLC会員 1,000円
一般参加 1,500円
【お問合せ】 nlc_okayama@yahoo.co.jp
担当 守岡 吉春まで
※前回の中止でご迷惑をお掛けしました方々に本日招待券をお送りしました。
近日中に到着が無い方はお手数ですがご一報くださいませ。
NLC岡山 守岡 吉春
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。

6月5日、午前4時、Vol.063を配信しました。
今号は動画配信です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
北朝鮮リスクにいらだつ温家宝
〜どうなる今秋の東北アジア展示会
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
お手元に届いているかご確認ください。
■ニューズレター・チャイナが配信されないという場合は、http://aoki.trycomp.com/NL/haisin.html からご連絡下さい。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
友人からのメールで鳩山首相が退陣表明をしたことを知りました。テレビでは急遽特番が組まれ、「識者」たちが政局論を交わしていましたが、いくらなんでも、いまになって民主党に「騙された」はないでしょう。まともな人間なら、ちりめんじゃこが大好きだとしても、鯨ほど大きいとは言わないでしょう。ジャーナリストを名乗るのなら、個人的な好悪や主観的な願望と客観的現実を混同すべきではありません。「民主党はいい支援者には恵まれていないな」。これが私の正直な印象です。
鳩山政権が誕生したときから、彼らが迷走するのは自明のことでした。私は昨夏、民主党が総選挙で大勝した直後に、そのことをブログや講演のなかで、繰り返し指摘してきました。民主党がやってきたこと。それは何の計画性も戦略性もない「やっつけ仕事」にすぎないものでした。
なかでも、民主党が日米安保を機軸にした日米関係を見直すというのなら、田中角栄の対米自立外交の栄光と悲惨をなぜちゃんと総括した上で、戦略を立てないのか。私は田中外交の内幕めいたことはある程度知っていますが、当時の日本政府に決定的に欠けていたもの。それはグローバルなインテリジェンスだったのです。だが鳩山政権もそのブレーンたちにも、そうした反省などつめの垢ほどもなく、脳天気に普天間問題を論じていただけでした。ロッキード事件を毛沢東など中国首脳は一人の例外もなく、「米国による田中つぶしとこれを利用したソ連の陰謀」と認識していました。毛らのこうした捉え方が正しかったのかどうかは別にして、これがリアルポリテックな「外交脳」というものなのではないでしょうか。
鳩山政権とその主要閣僚の多くはほぼ全員が全共闘世代に属しています。彼らは他者への批判には熱心だが、その一方、肝心の実行のほうはいっこうに伴わず、口ばかりが先行し、いやになると放り出し、責任を他人に転嫁するという体質が露骨です。鳩山辞任もそうした一例でした。
彼は沖縄に犠牲を強いてはならないと繰り返すばかりで、そのための具体的な方法論はなにひとつないまま、しかも訪沖はたった2回というお粗末さで、これが行き詰まると政権を放り出すというこの世代特有のパフォーマンスでした。
結局のところ、民主党とは、自民党への子供じみた反発とそのアンチとしてしかレーゾンデーテルを持ちえていない政党だったということなのです。
残念なことですが、日本国民はまだわが国が直面している本質的な危機について自覚していない。危機とはなにか。それは、仮にこのまま民主党政権が続けば、遠からず、日本は 幕末の会津藩に、そして国民は白虎隊にされてしまう可能性があるということなのです。
NHKの「竜馬伝」に感動して、愛国者ぶっている場合ではないぜよ。
このテーマはまだ続きます。個人的な事情を言えば、政局の急変でゲラの直しが増えて、泣いております(笑)。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
来日中の温家宝中国首相の歓迎宴に話題のアグネスチャンが招待され、歌まで歌ったという。創価学会の池田大作名誉会長といい、この温といい、彼女は権力者の前で歌うのが大好きなようである。
だが、そうかといって、こんなチャンを、ネット上で、一方的な思い込みだけで批判してもそれは適切なものなのかどうか。
アグネスチャンについてまず最初に整理しておく。
(1)彼女と中国政府の関係は極めて良好である。
(2)理由は共産党や政府を批判しないからである
(3)この点で彼女は89年の6月の天安門事件に抗議して香港のビクトリアパークで
開催された100万人市民集会に「民主万歳」の鉢巻をしめて登場、虐殺に抗議し、民主化運動に連帯したテレサ・テンとは180度そのスタンスが異なる。
アグネスは徹頭徹尾中国を刺激するような発言はしない。民主化運動を正面から支援したことも、評価したこともない。
(4)近年、アグネスは日本のポップス系シンガーとして、初めて北京の人民大会堂でコンサートを行っている。こんなケースはこれまでにない。共産党トップの許可がない限りこんなことは実現しない。
彼女は胡錦濤国家主席ら政府首脳からことのほか、信頼が厚いのである。
いうまでもなく、中国は共産党の一党独裁の国家である。アグネスの住む日本のように、三権分立もなければ、公平な裁判制度も存在していない。判決はカネ次第というのが現実だ。メディアの自由な報道も当然、許されていない。それどころか、拝金主義の風潮はジャーナリストの世界でも蔓延しており、記事とマネーの交換が通常である。
まだある。中国人、というか漢民族は「中国4000年」といかに自国の歴史が古いものであるかを散々に誇る。だがこの4000年の間にただの一度も全国的な総選挙が実施されたことはない。2010年の今現在においても、である。
つまり、共産党は選挙で公平に選ばれた政党ではないのだ。
アグネスファミリーのルーツは中国の貴州省である。貴州省の住民が共産党を非難することはなかなかできない。刑務所が待っているからだ。
だが日本に居住するアグネスは「外国」である日本国内において、自由な発言を保障され、そればかりか国会で児童ポルノ禁止までもアピールできるほどの著名人となっている。その豪華な自宅は週刊文春がグラビアでも取り上げてくれるほどだ。
アグネスは日本ユニセフと関わりをもち、世界の恵まれない子供たちのために「ボランティア」に励んでいるという。そんなチャンだが、なぜか祖国の人権問題や児童虐待には言及しない。そもそも彼女は祖国の自由にも民主化にも口をつぐむだけなのだ。
その一方で、共産党や幹部たちと、ことのほかアグネスは親しい。今回もアグネスはオリジナル曲を中国共産党NO2の最高指導者温家宝首相に「捧げた」。
なぜアグネスが招待されたのか。中国の「古い友人」と認定されているからだ。中国政府と長い「友好的な」付き合いがあり、同時に一切中国批判をしない。こういう面々だけが歓迎宴に参加することができるのである。
招待者リストは中国大使館が作成し、本国外務省が最終的にゴーサインを出す仕組みとなっている。NHKなどニュースが映す映像の裏にはこうしたからくりが隠されている。
仮に中国を激怒させればどれほど日本で著名であっても、以後、招待されることはない。そればかりか団体のメンバーからも追われることは必至である。
実は今回の来日歓迎宴の関係団体の中に日中文化交流協会という団体がある。かつてこの親中団体の幹部でありながら、中国政府の逆鱗に触れて、そのポストを追放された著名人がいる。作家の司馬遼太郎である。司馬は「週刊朝日」の「街道をゆく」のなかで、台湾の李登輝総統と対談、李はこのなかで、「台湾に生まれた悲劇」を語った。
北京は激怒した。李に対して、そして司馬遼太郎に対して。文化交流協会の理事たちも中国の顔色を見ながら、司馬氏追放に抗議ひとつしなかった。アグネスが出席した歓迎宴にはこんな媚中団体ばかりが加わっている。その席で、チャンは温首相のためにマイクを握った。国民作家司馬遼太郎は追放されたが、アグネスチャンは温の拍手を浴びた。
アグネスのルーツは貴州省である。中国でも最貧困の省である。ここでは貧困と一人っ子政策のため、農村部を中心に、間引きが蔓延している。殺されるのは女児たちばかりである。
生まれたばかりの女の子は女であるというそれだけの理由でひそかに殺害されてゆくのである。背景にあるのは、農村に伝統的な男系思想である。
日本における児童ポルノどころの話ではない。アグネス家の出身地ではそれ以前の段階で、女児が大量に今も闇に葬られている。
だが人権主義者アグネスチャンの口から中国農村の残酷さが語られ、虐殺への抗議が呼びかけられたことはただの一度もなかった。これは日本ユニセフも同様である。
私は思う。アグネスよ、あなたには温首相に捧げる歌はあっても、不条理に殺されてゆく幼児たちに捧げるべき歌はないのか、と。
そして、また私はアグネスにこう聞きたい。
女性としての喜びも幸せも味わうことなく、天国に旅立っていったこの子達のいる世界にはあなたの大好きなひなげしの花は咲いているのだろうか、と。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。
温家宝中国首相が来日した。3年ぶりのことである。前回の訪問時、彼は国会で日本の対中ODAに「感謝を表明」(中国のメディアは報道していない)、この発言に感激した日本の無知蒙昧な議員たちはこれに感激し、顔を紅潮させながら、一斉に立ち上がり、大きな拍手で歓声を上げた。
なんとおろかな光景だろう。過去の謝罪にだけは人一倍熱心な議員たちは、これまで日本が世界で最も中国を財政支援したばかりか、小泉政権の下で、円借款が中止された後も、財務省が管轄するアジア開発銀行(ADB)や世界銀行からODA以上の援助が総裁である日本の財務省官僚の積極的なバックアップのもと、継続している事実すら知らないのである。
この事実を前に、温首相が感謝しなければそちらのほうがおかしい。だがおろかな議員たちは彼の深謀遠慮にすら気づかなかった。実はこの援助への感謝発言こそ、ODA再開のための布石であったという事実に、である。
先日、日中韓の三カ国の環境大臣の会議が北海道で開催され、この場で日本が中国の黄砂対策に1兆7500億円もの援助を行うことがあきらかにされた。
援助の中身についてはまだ詳細はあきらかではないが、いずれにしても中国の環境対策に日本から公的支援が正式に復活するという宣言である。
今回温首相は毒餃子事件の結果、日本の消費者の中国農産物への警戒感をなだめるべく、「食の安全」覚書に調印もしている。新聞テレビの背景説明は不十分である。
なぜ毒餃子事件の「犯人」がいきなり逮捕され、温が来日して調印したのか。
それは世界経済危機で中国の海外マーケットが縮小していること、そのため日本への輸出を拡大したいこと、さらには鳩山首相の訪韓で話しあわれた日中韓のEPA協議をさらに進展させたいからなのだ。
なぜなら日本がEPAに加わる際の最大のリスクが中国や韓国からの農産物の輸入にあるからだ。加盟すれば、日本の農業はさらに安い中国産に押され、一層不利な立場に追い込まれてしまう。いま中国野菜の対日輸入の最大の障害が中国品の残留農薬の危険性なのだ。温はここをなんとかしたい。それには中国製品の安全性を政府がイニシアティブをとって、日本にアピールすることが緊急である。だからこそ、中国首相が来日しての「食の安全」覚書なのだ。
現在、中国では経済の第11期5ヵ年が実行中で、計画は今年が最終年度に当たっている。
その結果、来年、2011年からは12期の中期計画に移行するのだが、この計画の達成を温は見ることができない。
なぜなら彼はすでに、2012年の秋の党大会を経て、翌年3月の全人代での引退が決まっているからである。これでは2011年から2015年にかけての次期経済計画には関与できない。だから彼はこの時点で首相として、懸案の課題、なかでも経済貿易分野の話し合いのために、来日したのである。
具体的には、環境(黄砂対策を含む)と省エネへの技術および財政援助を日本から手に入れること、これに財界経団連などの影響力を期待すること、そして中国野菜を毒餃子事件以前のように、日本の輸出し、拡大させること、である。(経団連はEPA加盟に熱心だが、農業団体は大反対である)
大国中国は常に日本に優越している。そのような迷論、珍論ばかりが花ざかりである。冗談はやめてほしい。
温の訪日を見るまでもなく、冷静にあの国を凝視すれば、中国要人たちは自国の経済政策の先行きに対して強い焦りを感じている。
一向に改善しない世界の経済危機。そして国際経済の縮小と保護主義の台頭。
いま、輸出主導で成長してきたこの30年間の大前提が崩壊しつつある。さらに党内では、成長第一主義と、安定重視の政治対立が地域間の利害衝突と平行しつつ、進行している。この対立が2012年秋の次回。18回共産党大会の人事に関連するのである。
中国の日本接近にはこれほどの背景がある。
3年前温は国会で日本のODAに「感謝」した。今回は、彼は「日本をいつまでも恨み続けるつもりはない」とも発言している。
発言の裏にあるのは反日外交のつけである。
中国は日本に対して散々、恫喝と謝罪を強要して、時の首相の靖国神社参拝にまで抗議を行ってきた。そればかりか反日デモすらしかけたのである。
ついにことここに至って、日本人は切れた、なめんじゃ、ねえよ。こうなったのだ。この世論が対中ODAを中止に追い込み、媚中政治家や田原総一郎を筆頭にした「ジャーナリスト」たちを孤立化させたのである。
いまや田原の「中国解説」は2ちゃんねるの絶好のネタと化している。
胡錦濤よ、日本国民の正当な怒りを思い知るがいい。私たちはこう言ってやらなければならない。
最後に。
ジャーナリストは冷静で、リアルな解説をすべきである。だが温の焦りを新聞もテレビも正確に伝えることはなかった。まだある。ホンダの広州における労働争議に見られるように、中国ビジネスの現場においても、根強い社会不安が広範に存在していたことすら、ほとんど指摘してこなかった。
(私は「北京五輪後に何かが起こる」
(PHP研究所)のなかで、中国国内において外資に対して、義和団的な敵意が広範に生まれつつあることに触れている)
山雨来たらんと欲して風楼に満つ やんぬるかな花の落ち去るを。
これが近未来の中国の姿である。
次回は温歓迎パーティに出席し、はしゃぐ「アグネスチャン・欺瞞の博愛」を書きます。
またNLCではさらに深く突っ込んだ解説とインサイド情報を毎週レポートしていまます。ご購読のほど、よろしくお願いします。
■ニューズレター・チャイナの詳細・お申し込みは、http://aoki.trycomp.com/NL/ から。







