読者の方に感謝

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小学館の発行する[SAPIO]の先月号に、2008年に中国向け円借款が廃止された後も、依然としてさまざまなルートから中国に対する経済支援が行われている事実をレポートしました。早速読者アンケートがあがってきたのですが、好評だったようで、安心しました。これまで、ODAなど対中援助関係のレポートは大手マスコミが談合でもしたかのように、まったく報じないこともあって、読者の反応は実にビビッドで毎回、「始めて知った」「信じられない」という声が圧倒的です。
「SAPIO」では以前にも、アジア開発銀行(ADB)など第3機関を通じて中国に行われている迂回融資の実態を5回にわたって紹介しましたが、このときは、同誌の人気シリーズである「ゴーマニズム宣言」を抜いて読者アンケートでトップになったことがあります。講談社の「フライデー」の特集記事でも「一番面白かった記事」に選ばれました。読者の関心が高いテーマです。

ただ、ジャーナリスとして本音を言えば、このテーマにはなかなか簡単には書くことのできない困難さもいくつかあります。作業は公開情報の吟味からスタートします。

最初がまずODAの管轄・外務省。
同省のHPにある「ODA」にアクセスするのですが、このなかの中国向けODAの数字やプロジェクトを見ただけでは、いったいなにが問題なのかがわからない。
鍵は援助の種類、地域、中国側の担当セクションと受注企業などにあるのですが、仮にそれが判明したとしても、当然、それだけでは、国民にはそのことが、どういう意味をもつのかは理解できない。
たちの悪いことに、外務省はプロジェクトに関わる中国側企業名については「中国政府の意向」(外務省中国課)で、あきらかにしてはいません。世界一中国を援助していながら、こうした公開性の重要性をほとんど理解せず、ひたすら援助する日本の側が中国の顔色を伺っているのですから、納税者の納得を得られることはない。納税者とはもちろん、このブログを読んでいるあなたのことであり、読者の方々のことです。

ではわからないというのなら、どのようにして、不明点を調べるのか。ここからがプロの仕事になりますが、それがなにかは、秘伝のたれ。むやみに公開はできません。

さらに、プロジェクトそれ自体とは別に、このプロジェクトが立ち上げられた背景を見ることも必要です。当時、中国政府がどの分野に援助マネーを使おうとしていたのかがポイントになります。そのためにはその年の政府活動方向(首相が全人代で演説するあれです。もちろん温家宝なら温家宝が自分で書いているわけではない。国務院の官僚たちがゴーストライターです)を読み込むことが大事になります。

「中国ODA6兆円の闇」(祥伝社)を書いた時は人民日報の20年分のCDを検索し、政府活動報告ばかりか、援助に関して言及している「社説」「コラム」も全てチェックしました。これをプリントしておくことも忘れてはなりません。
重要なキーワードが隠されていることがあるためです。

国際援助団体の広報の貧弱さはアジア開発銀行や世界銀行といった大手の場合も外務省と並んで、似たようなものです。両行は米国と並んで、日本が最大の出資国なのですが、日本語のHPは「子供のおもちゃ」といったレベルで、中国向け案件などについてもまったく紹介されはいません。これではとても使えない。
その結果アジア開発銀行、世界銀行の中国向け融資については、現地の中国事務所のHPにアクセスしなければならないのですが、そのためには英語か、中国語かいずれかの知識が必要不可欠になります。

まだあります。中国の場合、人名、地名いずれも漢字で表記しますが、英語での地名表記の際は、これを最終的に漢字に変換する作業が待っているのです。
作業は中華人民共和国政府・新華社系列にある「地図出版社」発行のものを使います。この地図を机に広げながら、拡大鏡で細かい場所をチェックします。この年になるとさすがに辛いです(笑)。


こうした公開情報を組み立てて、全体の構図が見えてくれば、取材が始まります。援助関係者、企業の「中国屋」、それにインサイドな情報通にコンタクトして、ウラをとり、その後、原稿の執筆を開始します。

ネットを中心に大手マスコミ批判の声は大きくなるばかりです。しかしネットの情報はいまだにマスコミ報道を越えたとは言いがたい。マスコミが書けないテーマを深く掘り下げて、さらに全体の構造をあきらかにする。これからも、これが私の最大の課題です。

ジャーナリストの仕事は上記の如くです。デモや集会に出ることが本筋ではありません。それだけに、今回のSAIPOの読者の反応は嬉しかったです。
すし屋に入って、「なんだ。この店にチャーハンはないのか」と怒鳴れても困ります。すし屋のメニューにチャーハンはありません。うまいお寿司をひたすら握ること。評価は寿司の味でしてほしい。私は今後もこれで行きます。





■■ 講演会開催のお知らせ ■■
 
【開催日】  平成22年6月27日(日)
【場所】   岡山コンベンションセンター 407会議室
       〒700-0024 岡山市北区駅元町14番1号
           Tel.086-214-1000 Fax.086-214-3600
        http://www.mamakari.net/map/index.html  
【時間】   開場 13:00
       開演 14:00〜17:00
【料金】   NLC会員 1,000円
       一般参加  1,500円
【お問合せ】 nlc_okayama@yahoo.co.jp
        担当 守岡 吉春まで





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