青木直人BLOGでタグ「アジア開発銀行」が付けられているもの
「現在ドイツを訪問中のダライ・ラマ14世と会見した同国のヴィチョレクツォイル経済協力開発相が19日記者団に対して、「チベットで暴力が続く間は対中経済支援を凍結する」と表明した。ドイツはこれまで地球温暖化対策や環境保全分野を指定して、2007年度は6700万ユーロ(約100億円)を拠出している。開発省は3月のチベット騒乱以降、中国側と協議自体を中止している」。
(日経ネットより)
ドイツは言葉ではなく具体的な行為でチベットの自由化を求める人々と連帯を始めた。それは援助の蛇口を閉じることで、中国のチベット抑圧政策に変更を求めるものだ。昨今は米国の国務省中心勢力の中国への弱腰が目につくのと対照的にフランスやイギリス、そしてドイツなど欧州勢の人権外交が熱い。米国の場合はなんせ、あのブッシュ大統領の父ブッシュシニアが「五輪参加選手団の名誉団長」として北京に乗り込むという体たらくなのである。
そこでわが日本である。チベット弾圧について政府が具体的抗議をしたことはないし、そればかりか「五輪を支援する議員の会」なる中国ヨイショ議連まである。世界が人権弾圧と北京五輪に疑問の声を上げ始めているのに、日本では国会議員250名弱が与野党を問わず、「五輪を支持する」と言うのである。
おまけにこれを中国サイドと一緒に、立ち上げたのが衆議院議長である河野洋平なのだ。彼は胡錦濤国家主席との間で議連の設立を彼が会長を勤める国際貿易促進協会のビジネスとバーターで請け負ったのだ。「会員企業の中国ビジネスをよろしく」とお願いしながら。
ではドイツに比較して日本の援助は少ないのか。とんでもない。ODAだけでドイツの5倍以上の援助を行っている。それ以外の援助を含めれば10倍近くも達する。
最近ネットでODAについて意図的な書き込みが目立つ。まずODAは6兆円ではなく、3兆円だと言うもの。ウソである。日本の対中援助には二カ国間援助とアジア開発銀行など国際団体を通じて迂回融資の二種類がある。
前者にはODA(これは外務省管轄)と国際協力銀行が融資するアンタイドローン(いわゆる資源開発への融資・資源開発ローンと呼ばれる)のふたつがある。
ODAは確かに3兆円強だが、後者の資源ローンも3兆円弱あって合計で6兆円を突破する。これが明々白々な援助総額であり、書き込みはわざと後者の数字を指摘していないのである。金額を少しでも少なく見せようとの浅智恵である。
また日本のODAは円借款が中心で、金利を取っているとの批判もある。これも大笑い。30年間で1、2%台のローンなどインフレを考慮すればただ同然であり、そもそも日本のODAは円借款中心。理由は返済をさせる事で自助努力を促進していこうと言う援助哲学によるものだ。中国だけに金利を取っているわけではない。全ての被援助国がこうなのだ。
この二カ国間の援助が6兆円を突破し、さらにアジア開発銀行と世界銀行からの迂回融資を日本の拠出額(約16%)で割ると1兆4千億円となる。合計7兆4千億円!
ちなみに日本のODAだけでも中国が世界から得ている公的援助の60%を占めているのだ。繰り返す。日本一カ国だけで、だ。この膨大な金額に比較すればドイツの援助など露骨に言えば可愛いものである。
だがそれでいて、政治の側からは中国に対してドイツのようにチベットへの弾圧に抗議して、援助を停止せよとの声はあがらない。自民党からも、公明党からも声はなく、野党第一党の民主党も社民党、共産党もひたすら沈黙するばかりである。
援助金とはなにか。我々の血税である。だが国民の代表たる議員はドイツとちがい、中国については口ごもるだけなのだ。
普段あれほど「ドイツに学べ」と叫ぶ朝日新聞も何も書こうとはしない。彼らがしたことは中国の対日情報工作のひとつであった映画「靖国」の謀略的本質を「言論の自由」と言う手垢のついたイチジクの葉で覆うことだけだった。
中国の世界的な情報戦略が活発化していることは情報通なら誰でも知っている。だがそれを知りながら、朝日新聞は映画「靖国」問題を「右翼と国会議員の圧力」に仕立てあげた。情報分析のお粗末さと政治性は築地「小学生新聞」と呼ぶレベルである。だが議員の政治的圧力を言うのなら稲田朋美、有村治子両氏のような女性一年生議員の「政治的圧力」ではなく、元自民党総裁にして、現衆議院議長・河野洋平が中国五輪支援のために暗躍したその「政治力」こそ問題にすべきではないのか。
フリーチベット!対中国援助をストップせよ!
ドイツの英断に学びたい。これこそが外交である。長野の怒りを援助中止につなげることが大事なのだ。それはウソにまみれた「友好体制」を内部から変革することなしには成功しない。ドイツと日本はこれほど違う。今現在も日本国中、一木一草に至るまで欺瞞の日中友好が闊歩しているのである。
追加
最近いろんなところで講演をします。フェイスツウフェイスのコミュニケーションはいいですね、情報感度の高い方々からの依頼なら大歓迎です。
15日の初めてのキャスターは何とかこなしました。これも桜林美佐さんと桜のスタッフの好フォローのお陰です。番組の内容は桜のS-TVで全て見ることが出来ます。アジア開発銀行の中国向け融資が中国政府が99年から始めた「西部開発」政策に連動して行われており、これが事実上漢民族の少数民族同化をバックアップする結果になっているのではないのか、と問題提議しました。
アジア開発銀行からの回答は「政治的事項についてはコメントできない」という木で鼻をくくったようなものでした。こうした事実が世界のチベット支援団体に広まると、日本がアジア開発銀行に最大の出資をし、(全体の16%)歴代総裁も財務省高官が天下りしていることの意味が問われかねません。チベット日本事務所の抗議と危惧の声も取材しました。
西部のインフラ整備支援は2002年度から円借款から消えています。軍事的転用を危惧したためです。このように、外務省が廃止した交通インフラ整備に財務省が影響力をもつアジア開発銀行はさらに融資を続けているのです。いずれ米朝和解の際、ここから北朝鮮支援、なかでも羅津港の近代化に膨大な支援が予定されています。日本外交との連動性を欠いたアジア開発銀行の中国・北朝鮮支援とはなんなのか。納税者の監視が必要です。しかし表現の自由を記者会見で語る識者たちからはこうした「地球市民の声」「世界との共生」が聞こえてこない。「自分たちだけ」の表現の自由。「自分たちだけ」が地球市民。バカらしいですね。
しばらくブログ休みます。
昨日、「拉致日本人を救う会神奈川」の一般講演に荒木和博調査会代表らとともに参加しました。そこでの話のエッセンスを。やや辛口です。
①残念だが、チベット蜂起は事実上鎮圧されたとみるべきである。反乱の中心地域であるチベット自治区・ラサでの活動は軍事的に抑え込まれ、さらに反政府運動も甘粛省などチベット族居住区内にとどまっていて、他民族との連帯を通じた非チベット族地域への拡大に成功していない。事件はあくまで「チベット族」の住む「チベット地域」だけの戦いに収斂しつつある。
②中国共産党は国民の分断統治に巧みである。彼らの「智恵」に深く学ぶべきである。
少数民族の蜂起だけで政権が倒れることはない。革命の中核勢力はいまも昔も労働者であり、農民である。「社会主義」市場経済はかっては「社会主義の主人公」と呼ばれていた彼らを社会の最下層に落としている。逆に最大の既得権益グループは党政府の高官と家族たちである。文化大革命から40年、「党内の実権派」(北京大学大字報)は完全に復活し、政権を手にした。もはや絶望的な格差の解消は不可能である。
③89年の天安門事件は都市における反政府運動が内陸の農村地帯に広がらなかった。毛沢東の大躍進政策に始まる農業の集団化(人民公社)から個人農業に変わったことで、生産意欲の高まった農民は天安門事件に沈黙することで政府を「支持」したのである。
だが農民の所得はこの時点がピークで、以後相対的な「貧困化」に拍車がかかっている。年頭に出される「一号文献」はここ5年間「三農」問題(農民、農村、農業)に集中している。それでも離農はとまらない。農村の解体にこそ中国崩壊の兆しがある。
④社会科学院のレポートによれば現在中国社会には10の階層が存在している。中国共産党は13億もの国民を分断して統治、非抑圧階層集団を個別に孤立させ、押さえ込んでいる。今後も動乱はあるが、当面は「点」にとどまって「面」に拡大する可能性は小さい。また中国の成長はアジアNIES型の中産階級を育てるよりも、上下の経済格差の大きなラテンアメリカスタイルである。中産階級による「平和的革命」は期待できない。またなによりも彼らは改革開放の既得権益集団であり、政治的傾向は安定重視であり、保守的である。
⑤チベット蜂起に連帯することは貴いが、日本が中国政府に加担して、漢民族の少数民族浄化に手を貸している事実が知られていない。
日本が最大の出資国であり、総裁を送り出しているアジア開発銀行は四川省や甘粛省の高速道路建設に合計で700億円ちかい「援助」を与えている。ここを経由して解放軍の部隊が内陸に向かうのである。
新疆ウイグル自治区はさらにひどい。この地域を「解放した」のが人民解放軍の王震将軍であり、彼が対日利権の最大の窓口である中日友好協会の名誉会長であったことから、日本のODAも相当行っている。なかには現地幹部(漢民族)用に温泉まで作っている。もちろん私たちの税金が出所である。
日本の援助がチベットなど少数民族への弾圧と無関係ではないという自覚が日本人の長期的な支援の継続には不可欠だろう。
⑥福田首相が毒餃子事件について中国政府に抗議しないのは、「相手側を刺激しない」という「政治戦略」(笑い)以上に、日本政府が中国に反論することで、小泉内閣当時のように、対立が日中両国政府間と国民の間のナショナリリズムの激突につながる可能性を恐れているからである。財界と外務官僚が最も嫌うのがこうした事態の勃発なのだ。
だが事態は小泉時代と本質的には何も変わっていない。次のハードルは北京五輪である。8月の北京で反日排外主義と中華愛国主義が爆発する。
その結果、日本の草の根の対中感情はさらに悪化する。過剰な排外主義は経済の失速と失業の増大に伴って、共産党攻撃に向かう可能性はある。労働者も農民も公然とこう言い始める。「共産党は本当に私たちの味方なのか。外国企業の買弁ではないのか」と。
やがてチベット以上の衝撃が中国共産党を痛打するかもしれない。だが共産党はひとまずは安心である。なぜなら反政府の側に「毛沢東」が不在だからである。
全国的反乱を指導し統一できうるリーダーと組織はまだ出現していない。
ありうる可能性は共産党の分裂ではないか。
注:一部、文言を削除した部分があります。この部分に関してはいずれ詳細なレポートを行う予定です
友人の『電脳補完録』の主催者・山本さんの協力で、ブログをはじめることにしました。いつまで続くのか、自分でも自信はないのですが、取り合えず、1年間は続けます。
東アジアの諸情勢が本格的に動き始めました。背景にあるのはアメリカの覇権の歴史的な衰退で、それに伴って、アジアのパワーバランスは100年ぶりに一変しつつあります。こうした鳥瞰的な視点を踏まえつつ、虫瞰的に情勢を論じていきたいというのがブログの開設の趣旨です。
安定的に成長を謳歌してきた中国ですが、短期的にはあやうい局面に入ってきたと見ています。理由は、経済の先行きに楽観視できない兆候が現れてきたこと、成長の代償として生まれてきた社会矛盾(格差と共産党の腐敗の蔓延)が巨大な不安定要因になりつつあるからです。中国をGDPの数字(それも当局の恣意的数字の可能性が高い)だけで判断するのは止めたほうがいいようです。先の17回共産党大会では人事だけに焦点があつまっていましたが、なぜ胡総書記の報告の中で『開放』政策が繰り返し強調されていたのかを考えておくべきでしょう。
朝鮮半島も要注意です。確実に米国と北朝鮮の『和解』(正常化以前に、当面は両国間の信頼醸成と緊張緩和が最優先される)が近づいてきた。来年早々、米国国務省主導で、対北テロ国家指定が解除されるはずです。(米朝正常化にはハードルが高いとの論評もあり、それはそれで事実なのですが、問題はいまや『正常化なき正常化』の関係が着々と進行していることで、ブッシュの『裏切り』は確実に日本のナショナリズムの台頭と米国不信を高めるでしょう)。
現在さまざまなルートから流されている『テロ指定解除』についての各種の報道は、解除による日本世論の反発や批判に備えた事前の情報リークとみるべきです。解除の方針はすでに決定済みです。
福田内閣は1月の訪中までに『解除シフト』に動きだすはず。福田政権の誕生とは米中の仕切るアジア秩序を日本が受け入れ、草の根のナショナリズムを上から管理することにあります。だがそれがスムーズにいくのかどうか。米中が恐れているのは福田内閣の動向ではなく、「拉致処分」が生み出す日本人の反応、世論の動向です。
また来年は台湾総統選挙がある。現状では馬英九国民党候補の勝利が噂されていますが、彼の主張する中国大陸との話し合い路線は大陸投資を生命線にする財界の融和姿勢を背景にしています。台湾独立派と融和派の選択は形をかえた東アジアにおける日中対決の側面をもっています。東アジア情勢は戦後の日本のあり方を否応なしに日本人に問いかけてくるはずです。
そんな話をぼちぼちと書いていきます。
●書いています 発売中です。
『ニッポンの恥!』(別冊宝島リアル「自民党の媚中政治家」)
『誰も報じない中国の真実』
(オークラ出版・『中国人御用学者たちの正体を見抜け!』など6本書きました)
●11月20日、『正論の会』で講演しました。(『対中援助は必要か』)出席していただいた方には御礼申し上げます。話し終えて、まだまだ対中ODAにまつわるでたらめさや両国政治家や援助団体の具体的な「闇の実態」が知られていないことを再認識しました。
福田政権で08年に終了する対中ODAに替わるエネルギー、環境支援が『復活』するのは時間の問題でしょう。この検証作業も始めます。
●『チャンネル桜』の『報道ワイド』(11月27日午後8時〜)で、アジア開発銀行の中国周辺諸国への「地域開発援助」について、安全保障の観点から解説しました。
日本の北朝鮮『制裁』はこの日本が最大の出資国(15・7%・米国と同率)である国際援助団体から最初に解除されることになりそうです。
●荒木和博氏が主催する戦略情報研究所のニューズレター「おほやけ」に田原総一郎批判を書きました。今年1年間、月に2回投稿します。政府の支援を断りながら戦っている荒木さんたちの「男気」に連帯したいということで、書くことにしました。
購読料は年間1万円で、毎月の講演会に無料で参加できます。(なお投稿した原稿について質問があればご連絡を。お答えします)
問い合わせ先は『戦略情報研究所』のHPへ
http://senryaku-jouhou.jp/
●友人たちに声をかけて、来年早々からこじんまりとした勉強会を開催します。月1回、3時間です。開始からしばらくは、私が講師を務めます。
テーマは
第一回『日露戦争のアジア的影響』
毛沢東の日露戦争論 08年1月
第二回『ロッキード事件とはなんであったのか・再検証』
田中角栄非公開発言から 2月
第三回『米朝「和解」、米中再接近後の東アジア情勢』
どこに向かう日本のナショナリズム 3月
です。










